「志水寺ついたーー!」
「つきましたねーーー!」
目的地に到着する。広い境内は向こうが見渡せず、そしていたるところに観光客がいる。一周するのにとても時間がかかりそうだ。
「ダーリン、これ面白いよ、みてみて」
猫汰に呼ばれ、指さした「面白い」ものを見ると、大きな棒と小さな棒が並べて展示されていた。
「なんですかこれ」
「なんかね、持ち上げられた重さによって、心願成就する棒なんだって」
「神社仏閣らしい展示品ですね」
せっかくなので、豪星も小さい棒を手に持ってみたが。
「……うわ!おもっ!だめだー、俺ちから無いからこっちで限界だ。猫汰さんも持ってみま」
す?と聞く直前。「おらぁ!!!」隣で猫汰が、大きい棒を持ち上げる。わあ。力持ち。
「わーい!やったぁ!おおきい方持てた!これで俺とダーリンの愛は永遠だね!」
これを持ち上げる愛ってどれだけ重いんだ。
「ダーリンもやってみる!?」
「ノーセンキュー」
出来る気がしない。
あちこち、境内を見て回り、時々おやつを食べたりしていると。「ん?」人の流れが途中で一方通行にかたより始める。
何事かと思いきや。
「あ、猫汰さん。あっちの階段上がると恋占いの神社があるらしいですよ。いってみま」
「いこういこういこう!!」聞くまでもなかったですね。
階段を上り、個別に併設されたのであろう神社をのぞくと、恋人らしき人だかりに溢れていた。
通路の真ん中には、ここの目玉とおぼしき「恋占いの岩」というものがふたつ、距離を離して置かれている。
立て看板に書かれた説明書きを読んだところ、目をつむって、岩と岩の間を無事歩くことが出来れば、恋人もしくは夫婦の愛が成就する。というものらしいが。
さぞにぎわってるかと思いきや。やっている人は意外にすくない。
遠巻きに岩を見ている人だかりをみるかぎり、興味あるけど、ひと目につくのは恥ずかしい。と言った風だ。
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