「でしょでしょー?で、そのお祭りに行った時ね、この折り鶴ピアスも見かけて、かわいいなー、でも今日ピアスいっぱい買っちゃったしなーって、購入を見送りましたところ。
なんと、今日のダーリンとの旅行デートで、再発見して、彼氏に褒められたのでうれしくて買っちゃおうと思いましたー!」
「ははは。説明ありがとうございます」
「ところでダーリンは耳に穴あいてないよね。あけないの?
もし空ける気があるなら俺が空けてあげるよー?」
「いえ。俺、身体に針を刺す。っていうのまったくダメで。注射とか点滴とか大嫌いなんです。その所為ですかね、ピアスをあける気がまったく起きないんですよ」
「ちえ。彼氏に穴があけられるなんて興奮すると思ったのに」
彼らしい興奮だなぁ。
ピアスを購入し、他にも色々な雑貨を見てから雑貨店も退出すると、もう少し昇ったところで、坂の途中に小さな神社をみつける。中にはいってみると。
「あ!ダーリンみて!すごい!社(やしろ)のまわりにたくさんぬいぐるみがぶらさげてある!かわいい!」
「ほんとですね!」
「なになに。えーと、つるし人形祈願。だって。
社務所で人形を買って、人形にペンでお願いごとを書き込んでつるすと願いが叶うんだって。
へー、おもしろい。やってみようか」
「そうしましょう」
「あ!ぬいぐるみ、三匹の猫ちゃんもあるよ!これにしようこれ!」
早速、てのひらほどの大きさの、青猫ちゃんと白猫ちゃんのぬいぐるみを購入し、それぞれ、お腹のあたりにペンをあてる。
えーと。なに書こうかな。平穏無事に過ごせますように、で良いかな……。
「ダーリンと、一緒のお墓に入れますようにって書こー」
俺との付き合いが彼の中で長期プランすぎる件について。
書き込みが終わり、ぬいぐるみをぶら下げて神社を後にする。
しばらく歩くと坂がよりきつくなり、少しだけ息が上がる。
「店に交じって、時々民家もみかけますけど、こんなに急な坂で暮らすのって大変じゃないのかな……」
「坂の大きい場所で生まれ育つと、性格なんかも曲がっちゃいそうだよね~」
「……猫汰さん、過去に坂で暮らしたことってありません?」
「ちょっとぉ。どういう意味ぃ?大体、性格が曲がってることに関しては、ダーリンに言われたくないからー」
お互いさまってやつですね。
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