寒くなってきたねと言っている内に、あっという間に11月が過ぎ、12月の初頭。

「ねー、豪星くん。僕いまからコンビニ行くけどなにか買ってきてほしいものある?」

タバコが切れたのであろう父親がこたつから立ち上がり、ついでにおつかいを承ってくる。

「んー」少し悩んでから。「いや。俺もいく」なんとなく気が乗って、自分もこたつから立ち上がった。マフラーだけ巻いて外に出ると。「うわ!さむっ」真冬の風にあてられる。呼吸をすると、鼻の奥がつんと痛んだ。

「さむいねー豪星くん。もう年の瀬だね」

「秋がきたかと思えば、すぐに12月になるよね……」

「12月といえばさ、豪星くん。クリスマスは猫ちゃんと旅行に行ってくるって言ってたけど、どこに行くの?」

「志水寺と嵐川。ほら、お寺と神社がめっちゃ多いところ」

「あー!あそこね!クリスマスだっていうのに渋いとこ行くね!
盆地の冬は死ぬほど寒いから、めっちゃ厚着してくんだよー」

「うん。分かった」三択島のとき、父親の忠告をあまり聞かずに出かけたらエライ目にあったので、今回は素直にうなずいておく。

しばらくしてコンビニに着くと、父親はレジに直行して、豪星は適当に店内を見て回った。なにかほしいものがあったら買おうかと思ったが、二周しても特に見当たらなかったので、レジに並んだ父親の元へ向かった。

ちょうど、会計を済ませていた父親に並んだとき。「ん?」あるものが目についた。少しだけ悩んでから、列の後ろに並びなおした。

自分の番がきたとき。

「すみません。年賀状を、えーと……無地を四枚ください」

指をよっつに折って注文すると、「ん??」豪星の会計が終わるのを待っていた父親が、そばで驚く気配がした。

「なに?豪星くん。年賀状出すの?」

「うん。出そうかなって」

「へー?」

父親が珍しがるのも無理はない。なにせ生まれてこのかた、豪星は年賀状というものを出した事がないのだ。理由はまあ、住所が常に安定しなかったという名の、隣のだめ人間の所為だけど。

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