「……え、ほんとにいいの?」
「うん。いいよ」
「……じゃあお言葉にあまえようかな」
「やったー!ダーリンゲットだぜ!俺もダーリンと同じところではたらこー!」
おっと。そうか猫汰がくっついてくる可能性を考えて無かったな。
いやでもまあ。この際だし別にいいか。
「けどさぁ、ダーリン、折角15番なんて取れたんだし、進学もしてみたら?就職その後でもよくない?」
「え?」
「ダーリン、勉強好きなんだから、大学行ってもきっと楽しいよ」
「え。いや、でも。進学なんて考えたこともないし……」
「そもそもさぁ、どうしてダーリンって就職しようと思ったの?」
「それは……」
もちろん。この世にたったひとりしかいない親がどうしようもない人だったからだ。
強制的に植え付けられた自立心が、豪星の進路をきめたようなものだ。
「でもそれってさー、結局おとーさまの都合に振り回されてるだけだよね?そうじゃなくて、ここはばしっと、ダーリンの希望を優先しようよ。ね?どっちがいい?俺と進学するのと、俺と就職するのと」
どっちの進路も猫汰付きな件について。
「いやでも、進学するとなるとお金が……いや、心配ないのかな。金は」
ワンルームで二人暮らし(ときどき一人)してたから、ずっと金のないうちなんだろうと思ってたんだけど、最近、猫汰との旅費を出してもらうたび、実はあるんじゃね?と思うようになってきた。
「おとーさまに頼むの嫌なら俺が詩織ちゃんに頼んで貸してあげるよー」
「え!?いやいや!それはさすがに!」
「いいのいいの。
ほんとはあげて良いくらいだけど、それだとダーリン気にするでしょ?だから、貸してあげる。卒業したら返して。利子はいらないけど、担保はラブで!」
担保、地味に重いな。
「俺はうん百万のラブをひねりだせるでしょうか……」
「やーん。ダーリンのそうやって謙虚な方向に思いっきり考えるとこ大好きー」
どこがツボなんだろ。毎回わかんないなぁ。
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