「しかし、あんな地味なストライク良く出せるな……」
「あれじゃね?豪星先輩の、本人は地味なくせに誰かのストライクきめまくってるところがボールにでてるんじゃね?」
「これが世にいうあざといっていうやつか」
「てか、すげーな三人とも。初球で全員ストライクとかなかなかなくね?」
「勝敗わかんなくなったなー……」
双子の言う通り、その後も、ストライクかスペアがつづき、ほぼほぼ横ばいの点数差でラストまできてしまった。
僅差で龍児が勝っているので、ここでストライクかスペアを出せば優勝の線が濃くなる。本人もはりきっている様子だ。
一球目、ストライク。
「まずいな……」ボールが戻ってくるのを待つ間、猫汰がつぶやき、まゆを顰めたかと思えば。「よし」すっくと立ちあがり、ボールを投げる直前の龍児に向かって。
「りゅーーーちゃーーーん!クツのひもほどけてるよーーーー!」
思い切り叫ぶ。ば!と足元を見た龍児の手から、ぼろっとボールが落ちて、「あ!」そのままガーターへ。
「よっしゃ。これで勝ったな」
「おい猫先輩!!あからさまな妨害してんじゃねーよ!」
「親切で言ってやっただけだろ」
「ほどけてねーじゃん!くつひも!」
「心の綺麗なやつにしか見えないヒモが解けてたんだよ」
「「お前が見えてる時点で綺麗もクソもあるか!!」」
はだかの王様……猫汰さんバージョン……。
「さーて、そんじゃちょっくらラスト決めてきますかねー!」
猫汰がご機嫌でボールをとり、とぼとぼ戻ってきた龍児にかわって自分がレーンに入る。
一球目、ストライク。
弐球目。
「「あーーーーー!豪星せんぱいの下のチャックが全開してるーーーーー!」」
「なんだとーーーーーーーー!!?」
後ろを振り返った瞬間、こちらもボールが落ちてレーンに入り、そのままガーターになる。それにかまわず。
「ダーリンの股間の窓が開いてるってほんと!?」
ダッシュで戻ってきたので、「開いてません」きちんと訂正する。
29>>
<<
top