「なんだよイケメン先輩。龍児すげーだろ?」
「そうだぞそうだぞ」
「まっすぐ真ん中に投げりゃ誰でもストライクだろ。
いいか?本当にすごいっていうのはだな、……こういうこと言うんだよ!!」
言うや否や、猫汰がボールを投げる。そのボールが軌道を曲げてガーターに落ちそうになり、双子がゲラゲラ笑い出す。
「なんだよ!啖呵きったくせにガーターかよ!」
「猫先輩かっこわりー!」
かと思いきや。
「あれ?ガーターにぎりぎり落ちなくない??」
「うん。……うん??」
「「「曲がった!!?」」」
ボールが最後までみぞのフチを走り、最後に思い切り曲線を描いてピンを全て押し転がした。なにあれ!?
「題して、曲がるボウリング魔球」
「「「すげーーー!!」」」
猫汰の弐投目ストライクも大いに盛り上がり、本人もご満悦そうだ。
「あれだな。龍児はストレートなパワープレイで、イケメン先輩はギミック付きの変化球プレイだな」
「つうか、性格の良し悪しでてるよね。龍ちゃんは素直だし、先輩は根性の曲がってるところがボールにまで出てるし」
ひそひそ、双子が喋り合っている内に。
「うわー!ふたりともすごい!俺、このあとやるのはずかしいなー」
照れつつイスから立ち上がり、自分のボールを持ってレーンに立つ。うしろからは「がんばれごうせー!」「ダーリンがんばってー!」対戦者からの熱い声援。うーん。試合とはなんぞや。
「えい!」自分も初球をなげると。
「おお。豪星先輩のろのろボールだな」
「なんか球がふらふらしてね?大丈夫?」
双子からの微妙な感想のあと。ピンにこつん!と当たって、がらがら、すべて倒れる。
「わー!やったー!」
「お、おお!地味だけどストライクだ!」
「すげー!地味だけど!」
「ちょっとコツつかんだかも!これなら二人とちゃんと勝負できるかも!」
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