「いや、これ、ゲーセン限定のやつらしいっすよ。ルーレットの景品でたまたま当たったんすけど、店員さんいわく最後の一個らしくて」
「ちょ、ちょうだい!!いや、買う!言い値で買う!!いくら!!?」
「え?まじで?買ってくれんの?やったー。じゃあせんえ」
「兄貴ナイスタイミング。ちょっとこっちきて」
「え??なになに??」弟に連れ去られたへんじが、ひそひそ、耳打ちし合い。そして。
「猫せんぱーい」すっかりにやにや顔になったへんじが、スマホケースをひらひら掲げてみせる。
「「そんなにこれ欲しいなら、勝負の景品ってことにしましょー!」」
………。
ゲームのセッティングをし直し、「っしゃあ!!かかってこい!」猫汰がやる気に満ち満ちた掛け声を放つ。
龍児も、ヒザやひじを伸ばしたり縮めたりしている。
ふたごと言えば、「龍児がんばれー!」「かっとばせー!」イスに座って、完全に物見客状態だ。
豪星といえば。
「わー、すごい。ゲームスコアに表示される自分の名前って、本名以外に変えられるんだー。俺の名前アオネコチャンになってるー」自分用のボールを持って、のほほんとスコアゲージを見上げている。
「ん??ダーリンも参加するの?」
「はい。せっかくだから先輩もやる?ってへんじ君が言ってくれて」
「そうなんだ!ダーリンがんばって!」
「ごうせーがんばれ!」
あれ?ふたりとも対戦者だよね?
ライバル応援していいの?
三人でボールを機械に置くと、一番手の龍児が投げる準備をする。
構えて、ボールを思い切り投げたかと思えば。
「……わーーー!初球でストライク出た!龍児くんすごい!」
「すげー龍児!見たでしょ先輩!?すごいでしょ!?あれで俺らさっきぼっこぼこにされたんだって!」
「龍ちゃんすげー!さすがーー!」
いきなりのストライクに盛り上がる。そこへ。「はっ。つまらねぇ投げ方するなぁりゅーちゃん」猫汰がにやにや笑ってボールを持つ。二番手は彼の番だ。
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