「あそばねぇから!!帰るよダーリン!」
「あそぶ」
「あそばねぇって!!」
「あそぶ!!」
相手の胸倉をつかみ始めた二人の間さにはさまれながら、「ふたりともー!会うとなんでいつもこうなるのー!」叫ぶ。
となりで傍観していたけんじが、「勝負の気配だ!」ぱちんと、うれしそうに指を鳴らす。
「イケメン先輩!こういう時はいつもの勝負っすよ!豪星先輩とボウリングゲームできる権をめぐって勝負しよ勝負!」
「やっっだよ!なんだその、相変わらず俺になんのメリットもねぇ条件は!!大体さっきダーリンとボウリングやったし!そもそもおれらデート中だし!」
「そこをなんとか!」
「やだ」よ!!、を言い切る前に。
「おーいけんじ!龍ちゃん!見てみて!景品いっぱいとれたー!」また背後から、今度はもう片割れの声。へんじだ。ぶんぶん手を振って、はたと、豪星たちに気づく。
「あれ。先輩たちじゃねっすか。デートちゅうっすか?」
「二回聞くなよ」
「俺は初回っすよ」そう言って、紙袋を床におく。中には、上のゲームセンターでとってきたのであろう景品が、もっさり入っていた。
「すげーでしょ。俺、ゲーセン好きなんでいろいろとるの得意なんすよ。あー良いうさばらしになった」
「兄貴の所為でクローゼットんなかぬいぐるみでいっぱいなのどうにかしろよ」
「彼女できるとこっそりあげてるくせに文句つけんなって」
「…………あーーーーーーーーー!」悪態をつきあっている双子の間を、突然、猫汰が割って入る。何事かと思いきや。
「す、すま、すま……!」
「え?なんすか猫先輩」
「スマホ!スマホケース!青猫ちゃんが蒸しパンもってるスマホケース!!」
「え?ああこれっすか?」
「なにそれ!どこで買ったの!?」
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