上手いひとが隣にいるならちょうどいいので、あれこれ聞きながらボーリングをつづける。

1ゲームが終わって、2ゲームの半ばまでくると豪星の下降路線な点数にも変化が生まれ。時々スペアも出るようになり、そして最後にはとうとう。

「……あ!ストライクが出た!すごい!ストライク出るとめっちゃうれしい!」

「おめでとー!ダーリン!」

「ありがとうございます!」

手を叩いて喜び合っている最中。

「……あれ?先輩たちじゃねっすか?」背後から誰かに呼ばれ、お互いの肩がびくっと震えた。ふりかえると。

「あれ。けんじ君」「げ」「どーもどーも」双子の片割れが立っていた。

「先輩たち、デートっすか?」

「まーな」

「外で会うなんてめずらしいね。へんじ君といっしょに遊びに来たの?」

「いや。兄貴もいるんすけど……」明後日の方を向いた瞬間。

「ごうせー!」背後から龍児の声が。

「うげ!!」隣で猫汰が、滅茶苦茶いやそうに唸る

「龍児くんも一緒だったんだ」

「おう!こいつらとボウリングした!」

「食べ物で釣って遊びに誘い出せたんすけど、龍児のやつ、初めてのくせにめっちゃ上手くて、俺らぼっこぼこに負かされたんすよ……。
兄貴は二階のゲーセン行ってうさばらし中っす」

「そんなに上手なんだ。あ、猫汰さんもね、ボウリングめっちゃ上手で、俺も手も足もでなかったよー」

「ごうせー」

「ん?なに?」

「いっしょにやろ?」

「えー?俺もぼこぼこにされちゃうかなー」

「しない。やさしくする」

「ほんと?だったら」

「はなれろこらぁ!!!」

豪星の裾をひっぱっていた龍児の手を、猫汰が思い切り叩き落す。


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