彼氏との金銭感覚の違いに、あらためて真っ青になっているところを。「はいダーリン!もってもって!」猫汰に戦利品をぐいぐいおしつけられる。受け取って抱えると、「はーいダーリン!わらってー!」笑顔を要請された。
二万円をかけた写真かと思うと笑えない。けど、がんばって笑顔をつくると。ばっしゃばしゃにとられた。
「ぐうかわ……!この素晴らしさがたったの二万ぽっちで……!」
うんまあ。
本人が幸せそうならそれでいいか。
猫汰の気が済むのを待って一階に降りると、出入り口付近でふと「ボウリング場」の看板が目に留まる。
「そういえば俺、ボウリングってやったことないです」ひとりごちると。
「え?じゃあやってく?」猫汰がさらっとキャッチしてくる。
「え!いえ、そういうつもりじゃ」
「なんで?やろうよ。時間あるし。おもしろいよーボウリング」
いこういこうと背中を押され、ボウリング場へはいる。
入ってすぐ、左手に置かれた申し込み用紙に猫汰が記入すると、もう少し向こうの受付に用紙をわたす。
となりでボウリングシューズも借りると、ボールを選んで指定されたレーンに入る。
「2ゲーム申し込んだから、大体20回投げられるよー、ダーリンからどうぞー」
「はーい。
えーと、ここから投げるんですよね」
人生初。初球といえば。
「……あ!横のみぞにはいっちゃった!」
「ダーリンざんねーん」
「あー……」もう一回やってみたが、これもみぞおち。
「全然だめでした」
「はじめてだもんしょうがないよー。
じゃあ次おれねー」
慣れたてつきで猫汰がボールをつかみ、ボールを転がすと。
「わー!すごい!」いきなりストライクが出た。さすが猫汰さん!
「ボウリングも死ぬほど遊んだんですね!」
「まーね!」
24>>
<<
top