スタッフに台を告げて、クレーンの数字をつけてもらうと、猫汰ははりきって、豪星はのんびりゲームを始めた。

とはいえ、この手のゲームに疎いので、豪星はあっさり失敗してしまった。かすりもしないとはこのことだ。

「ははは。俺、もうおわっちゃいました。猫汰さんのほうはどうで……」

す?と、言おうとして止めた。顔がめっちゃ真剣だったのだ。

俺の邪魔をするなという雰囲気がすごい。

「青猫ちゃんこい……青猫ちゃんこい……!」ぶつぶつひとりごとまで呟いてる。俺と彼氏の温度差がやばい。

「でも猫汰さんのことだから、ゲームセンターも死ぬほど遊んだんじゃ?」

「クレーンゲームはそうでもない!」

へー。そういうこともあるんだ。

でもこの真剣ぶりなので、執念で青猫ちゃんをゲットするかと思いきや。二回とも惜しい感じで失敗する。

「あー……残念でしたね……って、猫汰さん。なぜ財布を」

まさかと思うが。

「ワンモアゲーム!」

やっぱりか。

猫汰は札を小銭に崩すと、再びゲームを再開させた。

1回、2回、3回失敗。

4回、5回、……結局崩した分失敗してしまうと、再びお金を崩しにいった。

11回、12回、13回……。

30………。

40………。

「猫汰さん!ゲームの値段がぬいぐるみの値段を超してきましたよ!そろそろあきらめませんか!?」

さすがに50回失敗したところで横やりをいれたが。

「でもダーリン……!青猫ちゃんが、俺がいつまでもちんたら失敗してるから、とってくれなくて寂しいって言ってる……!」

「言ってない!いってないよ猫汰さん!しっかりして!」

結局。

「わーいわーい!青猫ちゃんゲットだぜー!」

「にまんえんかかったけどね……」

ちょっと良い日帰り旅行いける値段じゃね??


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