「待って。なにをどうしたらそうなるの」

「時間を止めるから、時計をこわす」

「物理か!!バラエティ番組じゃねぇんだぞ!そういう珍解答はいいんだよ!真面目にやれ!!」

「ま、まじめに、やってる……」

「まじかよ。空気もよめねぇ気持ちもよめねぇとか、お前人としてだいじょうぶか??」

「…………」

「はいじゃあ二問目いくねー。

真知子と逢瀬(おうせ)した次の日の夜。卓也は玲子との約束に出かけた。
空を見上げると、昨日と同じ星空が浮かんでいる。
そのひとつひとつの瞬きに、卓也は後ろ指をさされているようで、胸が痛んだ。

なぜ、卓也は後ろ指をさされているように感じたのでしょうか。答えよ」

「ハチが飛んでた」

「どこにだよ!!
この絶賛二股中のクズ男の心情のどっこにハチの登場する余地(よち)があるんだよ!!」

「ふたまた??」

「おい!そこからか!?
こいつはな、前日別の女とイチャコラしておいて、次の日には別の女とデートして楽しもうとしてるんだよ!!」

「そ、そうなのか……指のうしろを刺されたっていうから、ハチが飛んできたのかと思った……」

「だから物理で考えるな!!お前の頭は筋肉か!!

はい次!三問目!

「卓也さん。この人はだれなの!」
「卓也、この女とは切れたって言ってたじゃない!」
卓也はついに、鉄槌(てっつい)が下されることとなる。対面に座った玲子は立ち上がり、片手を振りかざしがてら、卓也の頬に張りてを打った。

このとき、なぜ卓也は張りてを打たれたのか、具体的に説明せよ」

「蚊がとまってた」

「…………もういい。おい、双子」

「はい……」

「ムリ。改善の余地なし。帰って」

「あー…………」

「そっすかー……」

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