「おお……!」
中間考査が終わり、テストが全て返却され、最後に順位がくばられる。
その数字に思わずうなってしまった。
学年順位、15番。
豪星の学生生活上、一番の快挙である。
「ダーリン。どうだったー?」快挙にもっとも貢献してくれたであろう彼氏が肩ごしに豪星の成績表をのぞく。そして、「すごい!あがったね!」まるで自分のことのように喜んでくれた。
「あがりました!猫汰さんのおかげです!」
「そんなことないよー!ダーリンががんばったおかげだよー!」
「いえいえ猫汰さんの!」
うれしすぎてお互いをほめちぎっている最中、「中嶋、いるか?」廊下から豪星を呼ぶ声がした。
「はーい」猫汰から離れ、廊下に出ると、担任教師に手招きされた。なんの用かと思いきや。
「その……」相手が唐突にまゆをしかめ、そっと顔を逸らした。
なんだろう?なにかおしかりを受けるようなことに、猫汰と付き合っていること以外心当たりがない。
成績については心当たりがあるけれど、褒めるときの顔には見えないな。
副担任はしばらく、あの、とか、その、とか、言いにくそうに口をごねさせた後、「ちょっと来てくれ」と言って、豪星を職員室まで連れて行った。
そして。
「……落ち着いて聞いてくれ。中嶋。その、お前が面接を受けて内定をもらった会社なんだが。……先日、倒産したんだ」
職員室のまどなり。進路指導室で、担任と指導教諭の前で通達された事実に、唖然となった。
「なんでも、大きな取引先が潰れてしまって、連鎖倒産だったらしいんだ。そのことを、学校も紹介者も知らなくて。まさか決算が粉飾されていたなんて……だから、これほど唐突なのは仕方なかったとしか言いようがなくて……ああいや、すまん。そんなことは言い訳にしか聞こえないな」
「はあ……」気の抜けた相槌がもれる。自分の進路がなくなったことに実感が抱けなくて、うまく語彙が出てこなかった。
「それで、だ。中嶋。お前には申し訳ないんだが、もう一度進路指導室に通って貰って、一から企業探しや内定をしてほしいんだが」
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