「ちげーよ。計算問題じゃなくて公式のほうだよ。例えば、知恵の輪なんかあるだろ。あれ、手順通りやれば絶対に解けるように出来てるだろ?極端に言えば計算もあれと一緒なんだよ。
計算は知恵の輪で、公式はそれを解く説明書だよ。だから、手ぶらで計算解くには、この解き方説明書をまるっと暗記する必要があるわけ。
これが出来てないと、理解にいけないんだよ。お前がやってるのは初心者の手順として逆なわけ。とりあえず、エックスがどうとかワイがどうして使われてるかとかの意味は捨てることね。読解は、公式暗記してひととおり基礎問題が出来るようになってから挑戦すること」

「……なるほど」

「つうわけで、まずお前は教科書に載ってる公式を、試験範囲まで覚えることね。覚えたら言って。出来そうなとこ絞って問題作ってやるから」

「了解っす」

「で、次はお前ね。社会だっけ?今どこやってるの?ああ、国の歴史ね」

「そうなんすよ。さっきも言いましたけど、名前とかいろいろあって訳わかんねぇ上に、なんか同じ苗字で似たような名前の人ばっかり出てくるし、戦いも色々名前ついてて、ややこしいっていうか、だからどうしたっていうか」

「お前さぁ、なんで同じ苗字の人が出てくるか。って意味をしっかり考えたことある?」

「え?……いや、あんまり。なんとなーく、家族とか親族なのかなってくらい」

「そうだよ。同じ苗字なんだから血縁関係なんだよ。親子とか、兄弟とか、叔父と甥とか、いとことか。で、親族ばっかり出てくるのに、なんで戦争ばっかりしてると思う?」

「……なんで?」

「親族中で殺し合ってるからだよ」

「ひえ」

「あれ?けんじ。お前そういうところから分かってなかったの?」

「なんだよ兄貴。分かってたのかよ。教えてくれよ」

「いや、分かっててやってるもんだと思ってた」

「そんなこと言ったら、さっきのイケメン先輩の数学の説明、俺ふだんからやってたよ。まさか計算の意味から考えてたなんて思わなかったよ」

「え?そうなの?なんだよ。お前こそ教えてくれよ」

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