……言われてみればそうだな。考えたことなかった。

「まあ二卵性ですし」

「俺ら、顔も性格もあんまり似てませんしね」

「それもそうか。
じゃ、まずは数学の方から教えてあげるよ。ノートと問題集開いて。そっちは、こっちの説明が終わるまで社会の教科書読んでなよ」

「はーい」

「了解っす」

指示された通り、自分はノートと問題集を開いて、けんじは教科書を開く。

まず、こちらに身体を向き合わせた猫先輩が、「さて。断言するけど」もったいぶった口調で、ひとさし指をノートにあてる。

「お前文系科目得意だろ。国語とか社会とか」

「え?ああ、はい。そっすね。国語とかは勉強しなくても、70とか80とか取れますよ。暗記も嫌いじゃないんで、社会もそこそこ点とれます」

「だろーな。だから数学解けねぇんだよ」

「え?どういうことっすか?」

白黒させた目に、「あのね」にやにやした先輩の口元が映る。

「文系科目が得意なやつ。つまり読解力が高いやつにありがちな初歩の落とし穴があるんだよ。
それはな、まず問題を見た時に、計算を読解しようとするんだよ」

「どういうことっすか?」

「つまり(2x+7)(2x-7)っていう展開公式の計算があるとするだろ?これをぱっと見た時に、はて。なんで数学なのにローマ字入ってるんだろう。数字の中にエックスが入ってるんだろう?みたいに考えたりする。
そうすると、次の授業でローマ字が増えて、yが式に入ってたりすると、なんでワイが入ってるかも気になる。その辺の意味を考えてる間に、授業がどんどん先に進む。
人間、分からないところをそのままにして次の説明をされたりすると、もうそこでわけわかんなくなって、挫折したりするんだよ」

「………言われてみればそうかも。計算式の意味を考えてたかも」

「まあ、後々意味は考えないといけないんだけどね。
それよりも、お前、数学はまず、暗記する科目だってわかってないでしょ?」

「…………………え?そうなの?え?でも計算するって暗記じゃないっすよね??計算問題暗記しても、点とれませんよね?」

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