「俺やだよ!?猫耳メイドしてパンチラした写真が知らないところで撮られててしかも保存されてるとかやだよ!?」
「まあまあまあ」食いさがる先輩を二人がかりで抑え込んだあと、「さーてそれでは」やる気になった猫先輩が、机を自分とけんじにあけわたし、目前に座る。
「パンチラしゃし……げっふんげっふん!可愛い後輩のために、今から勉強会はじめまーす」
「「おねがいしまーす」」
「………俺は疲れたんで、ちょっとコンビニでも行ってきます」
「いってらっしゃーい」
「あ、先輩、俺らもなんかおかし買ってきてください」
「俺もへんじも、塩辛いもんならなんでもいいっす。これ、お金どーぞ」
「おいお前ら。ダーリンぱしりにしてんじゃねぇよ」
「良いんですよ猫汰さん。ついでだし、買ってきてあげるね」
「「すんませーん」」
三人で先輩が出かけるのを見送ると、再び向かい合って座る。机が小さい所為か距離が近い。
あらためて先輩の顔を見ると、あらためなくても二度振り返るようなやんごとなき顔立ちが目に入る。
こんな顔して、金持ちで頭もいいとか、人生不公平過ぎだろやってらんねぇな。
「なに?」
おっと不味い。不満が顔に出てた。「いえいえ。なんでもねっす」平常心へいじょうしん。
「じゃ、とりあえず点数悪い教科良いなよ」
「げ」
「いきなり苦手教科からか……」
「なにいってんだ。苦手教科なんだから、克服すれば得意な教科より点が伸びるだろ?」
「そうだけど……」
「いいからとっとと言え。おい、へのほう。お前なにが苦手なんだよ」
「名前省略しねーでくれます?
ええと、俺、数学嫌いっす。意味わかんねーから」
「ふーん?そっちは?」
「俺は社会が嫌いっすね。名前とか年数とか色々覚えなきゃならないじゃないすか。俺、暗記すんの嫌いなんすよ」
「へー。双子のくせに、得意科目が文系と理系で分かれてるんだね」
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