「龍児、あれ、本気っぽいな」

「…………うん」

その本気がどこにかかるのか。言う間でもない。龍児の恋心である。

稚拙で雑で幼いけれど、確かに彼の中で育っているもの。

それは本人が自覚できないほどに小さく、なによりも澄んでいる。

「龍ちゃんの恋愛、いつかちゃんとした形になると良いね」

同じことを考えていたのか、「そうだな」けんじが同じ声色で、ひとつ頷く。

「まあでも、龍ちゃん一人じゃ進展のしの字も出来なさそうだけどね」

「言えてる」

「しょうがないなー。龍ちゃんの為に、またいっちょ手伝ってあげますかー」

「なんて言って、お前面白がってるだろ」

「ばれた?」

「ばれないでか」

そんな事言っても、にやにやしてるのは一緒じゃないか、弟よ。



夏休みもほぼ暮れかけ。早朝からとうとつに「今日はウチに来て」と猫汰に誘われた。

「ごめんくださいーい。豪星です」相変わらずご立派なマンションの、立派な設備から応答を願うと、「はーい」短い返事のあと、扉の鍵が開く。

「いらっしゃいダーリン。あがって」猫汰の部屋に招かれるなり、「うっ!」つい、声をおさえる。リビングに、料理がずらりと並んでいたのだ。

「ね、猫汰さんこれは……」そうか。午前から家デートってことは、料理を二回食べなきゃならないのか……。

「おひるごはん作った」案の定、予想通りの答えが返ってくる。が、表情は暗い。いつもならば、たべてたべて!と、明るく振る舞うところなのに。

「あの……」どうしました?と、声をかけようとするも。「はやく座って。もう食べよう」表情の割にすっきりした声で、席を促される。

言われた通り、席についてハシをとり、いつも通りええいままよと、料理を口に運んで。

「………美味い!!」思わず叫んだ。

ええ!?なにこれ美味い!!どうしちゃったの美味い!!猫汰の料理なのにうまい!!

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