「なにこの差別……!」
「俺らには馬鹿じゃねーのこいつらみたいな扱いのくせに、彼氏だけチヤホヤしやがって……!」
「うるせぇ外野は黙ってろ。
あのねダーリン。センター試験っていうのは、独立行政法人入試大学センターが主催してる、各大学の受験前に受ける試験のことね。
このセンター試験を導入してると、センター試験と、大学の本受験、二回の試験を受けて、二回分の合計点数が大学の合否点数になるの。
まあ、これを取り入れてない大学もあるけどね」
「猫先輩。なんでわざわざ二回もテストすんの?」
「一回で決まるなら一回でよくない?」
「いーや。二回あった方が都合の良い場合もあるんだよ。
例えば、足切りって呼ばれてる、センター試験を利用した二段階選抜とかな」
「にだんかいせんばつ?」
「なにそれ?」
「受験希望者がめっちゃ押しかける、人気の大学とかはな、一回じゃ数がさばききれないから、とりあえずセンター試験だけ受けさせといて、結果の順位で下の方切るんだよ。ここである程度点数とってなきゃ大学試験の口にも入れない。
つまり門前払い用の試験ってことだな」
「……へー」
「なんか、思ってたよりも、進学って複雑なんだな」
「とりあえず、俺がいま一通り言ったこと、へー!なんて聞いてるようじゃ、お前らの進路は真っ先に足切り直行だな」
ぐうの音も出ない!
「てか、猫先輩じゃないけど、俺らこのままで大丈夫?」
「もうちょっと勉強しなきゃダメじゃね??」
「もし行きたい学校出来た時に、いけませーんってなるのやだなぁ」
「「…………うーん」」
先輩の説明を聞き終えてから、兄弟で顔を見合わせると、頷きあってからカバンに手をのばした。口を開けると、中からノートや教科書、問題集を取り出していく。
「あ、おい。ちょっと、なにしてんだよ」
「いや、なんか」
「産まれて初めてめっちゃ勉強しなきゃ、って、今すごく思ったので、ちょっと場所貸してください」
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