猫先輩の分はありそうだけど。絶対、マイコップとか持ってきて恋人の家に居座ってそうだし。なんなら通い妻きどりしてそう。
「……あれ。先輩たち勉強してたの?」
奥の部屋に入るなり、机の上に広げられたノートや参考書のたぐい。その、目についたものをつい口にしてしまう。
「うん。中間考査が近いからね」
「うへー。真面目っすね」
「俺らとか、さっきから勉強めんどいめんどいって言いまくってたばっかりっすよ」
「俺はわりと好きだよ。勉強って、分かると楽しいから」
「すげー、そんな事いってみてぇ」
「俺らバカだから、勉強なんて一生嫌いなままだろうなー」
「おいお前ら。お茶いれてやったぞ。ありがたく飲めよ」
「あれ?猫汰さん。うちに予備のコップなんてありましたっけ?」
「もー。こんな事もあろうかと、一応買ってあったの。ダーリンもお父様もそういうところ適当だから。
ダーリンがこいつらにお茶出すなんて言うから、引っ張り出してきたんじゃない。俺の気遣いに感謝してよね?はいこれダーリンのぶん。ぬるくしておいたから」
「あ、すみません」
おお。通い妻どころか夫婦っぽいな。
「つうかお前ら、そんな調子で受験どうすんだよ」
「どうするもなにも」
「このままなんとなく勉強して、適当な大学いくんじゃね?」
親も、俺たちの一学期の成績を見ながら、まあお金がないわけじゃないから、2、3年生になったら身の丈に合った大学でも先生に勧めて貰いなさいと言っていたし。
「は?なにいってんのお前等。大学決めてないのに受験なんて出来るわけないだろ」
「え?いやいや、出来るでしょ?」
「どうやって?」
「なんかこう、時期になったら適当に勉強して、その時の成績に合わせて学校決めて……」
「は?時期ってなに?時期って言うなら、入学式終わって次の日にはもう時期突入じゃね?つうか、成績出てから学校決めてたら、おそいだろうが」
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