「これがそこそこ受けがよくてよー。ただ、段ボールに防音はできねぇから、教室中ヤッてる声がうるせーのなんの。
その辺なにも考えずにヤリ部屋作っちゃうところが高校生っぽいよなー」

「…………」

「で、そのヤリ部屋段ボールにさ、当時のダチがあらかじめ隠しカメラ設置して、あとで伝手のあるやつに頼んでAVに流してもらうんだよ。良い小遣い稼ぎになってさー」

「へー。みつの友達かしこーい」

「…………」

「あとはなにやったかなー。文化祭なんて印象薄すぎてあんま覚えてねぇな……。あ、あれやったよ。文化祭の終わりにキャンプファイヤー」

「みつ。俺たちの学校、あとでキャンドルナイトやるよ」

「ほお。キャンドルナイト。おしゃれだなー最近の高校って。
俺たちのころなんて、そもそも学校中が穴だらけで修繕費すらないのに、マキ買ってくる予算なんてあるわけないだろ?だから、全員で手作りの着火瓶作ってさ。陽が暮れて来ると、全員で運動場に集まって、それぞれ自作した自慢の着火便にライターで火をつけて、花火と一緒に校舎に投げ込むわけよ。
いやー、面白かったぜ?ぱぱぱん!ばーんどーん!って感じで」

「やだーみつ、うけるー」

「だろだろー!」

「…………」

どうしよう。さっきから、どこを突っ込んでいいのか分からなくて、とうとう押し黙ってしまった。

なんか、光貴さんて、優しいお兄さんって印象だったけど、案外怖い人なのかな……。

あと猫汰さん。なんで笑ってられるんだろう……。

真っ青になってうつむく豪星の肩を、不意に誰かが掴んできた。顔を上げると。「彼氏さん」春弥がにっこり笑って。

「気にしたら負けだよ?」白い歯を見せる。まるで歴戦の猛者だ。

「え?どうした二人とも?」

「あ!こらハル!ダーリンにべたべたしないで!」

知らぬは本人たちばかりだな。

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