「見てないよ?そんな、ダーリンのお部屋で、素人ナースの24時、夜勤はイケナイ看護の香りのAVなんて、見てないよ??」

「見ただろそれ!!」

「みみみ見てない。そんな、好奇心に負けて、クローゼットをちょっと開いたりなんて、してない。してないから」

「うるさい!大体あれ父親のだから!俺のじゃないから!!」

「えっ。……なんだ。白ナース好きのダーリン美味すぎと思ってたのに」

「……ひどいっ。猫汰さんのバカ!ひとんちのプライバシーなんだと思ってるんだよ!」

「あ!」猫汰の手を乱暴に払いのけて踵を返す。「待って!ダーリン!ごめんね!」謝る声が背を追うが、「うるさい!猫汰さんなんか知らない!」教室を飛び出していく。

廊下を駆け出すと、あてもなく走り出した。頭の中は羞恥でいっぱいだ。

ふざけんな!やっていいことと悪いことがあるだろ!

大体、いっつもいつも、いろんなことにずけずけ踏み込み過ぎなんだよ!俺だって我慢の限界があるんだからな!「だーりん!!」……って、あれ。後ろから声が。

「だーーりーーーん!!」走りながら振り向くと、白ナースのまま豪星を追いかける猫汰の姿が。

「ついてくるなーー!」叫んで加速するも、「やだ!まってーーー!」背後の足音が強くなる。

「ごめんなさいごめんなさい!!怒らないで嫌わないでーー!!」

「うるっさい!猫汰さんが悪いんだろーー!!」

「もうしないから!ぜったいしないから待ってーーー!!」

「うるさーーーーーーーい!!」

猫汰が追い付けないのを見る限り、足は豪星のほうが早いらしい。だが、体力がないので、いずれ捕まるかもしれない。そうなる前に逃げ切ってしまいたかったのだが。

「ぜぇ……ひゅ……はっ……ひっ……」残念ながらそれは叶わず。息が切れ始めた3秒後。「だーりん!!」後ろから猫汰に抱きすくめられた。

勢いで目の前の芝生に倒れ込む。知らない間に中庭へ入り込んでいたようだ。

「ごめんなさいごめんなさい!!俺が悪かったから!!ほんっとに悪かったから!!ごめんねゆるしてダーリン!」

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