「しかし龍児、最近肉ついてきたから、衣装ぱっつぱつだな」

「まー、ある意味エロいってことでいいんじゃないの?ほら、龍ちゃん。せっかくだし、豪星先輩によく見てもらいなって」

「お、おう……」されるがままになっていた龍児が、豪星に近づき、手前で止まる。「に、にあうか……っ?」恥ずかしそうな顔で、上目遣いに小首を傾げられて、答えに詰まる。

期待のまなざしを否定するのは可哀想だし、かといって、褒めてもけなしても、俺が変態になる。

「えーと……」答えに窮する豪星の肩を、ぐいと、猫汰が横に押しやる。前に歩み出た猫汰は、剣呑な目つきで龍児を睨むと、「……黒ナースだと……?上級きめこんでんじゃねーぞ!」相手の身体を激しく突き飛ばした。

「お前、昨今AVでも出てこねーぞんなコスプレ!!どこ路線狙ってんだよ!」

「………?」

「きょとんとしてんじゃねーよ!あれか?あざとさ狙いか??マニアックなふりして初心ですっていうアピール狙いか??いっちいちむかつく野郎だな!!」

「こいつなにいってんだ?」龍児がへんじに尋ねるも「気にしないで龍ちゃん。負け惜しみだよ」「………?」意味が分からなかったらしく、再び首を傾げた。

「大体ね!ダーリンはAVなら黒じゃなくて正統な白ナースが好きなんだからね!!ちょっとくらい奇策が決まったからって、調子にのるんじゃねーぞ!ねー!?ダーリン!ジャッジは俺にあるよね!?」

腕にしがみつかれるも、そんなこと言われてもなぁというのが本音でして。

「………ん?」けど、どうして俺の好みがAVなら白ナースだなんて断言出来るんだろう。かもならまだしも……。

…………。

「猫汰さん!!」

「はひ!?」突然名前を叫ばれ、猫汰が委縮する。その肩を掴んで、真向から睨みつけた。

「まさか見たの!?」

「…………」猫汰ははじめ、何を言われているのか分からなかった様子だったが、二秒もすれば、その顔がざっと青ざめる。

「ち、ちがう。見てない」ふるふる、首を振る力が弱弱しい。

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