「そんな訳ないでしょ!俺のコスプレどうこうじゃなくて、たんに!遊びに来ただけに決まってるでしょ!」
「いや。俺、ごうせいのコスプレ見に来た」
猫汰をなだめすかしている間に、龍児が豪星のセリフを訂正する。しんと、場が静まりかえってから、数秒。
「やっぱりそうじゃねぇかよ!!」猫汰がいっそう暴れ出す。やばいやばい!もう抑え込めない!!
「へんじくん!けんじくんー!」助け船を出すと、二人は顔を見合わせたあと、「勝負かな?」「勝負の気配かな?」にやりと笑った。そして。
「こんなこともあろうかと!」へんじが自分のカバンからなにやら引きずり出す。あれは……衣装?
「いやいやいや。もしかしたら万が一、こんな雰囲気になるんじゃないかなーなんて思って、用意しときましたよ、コスプレ勝負の衣装!」
「どういうことかな……」
「そりゃもちろん、イケメン先輩のコスプレに対抗して、龍児もコスプレするんで、どっちがより豪星先輩の性癖に合致するか、判定勝負ってことにしましょうや!」
君たち、ほんとに勝負が好きだね……。
あと、なんで俺の性癖に合致することが前提なんだろう。男がコスプレしてる時点で的外れだよ……。
「ふん。俺のナースに勝負しかけるとか、良い度胸してんじゃねぇの?生半可な衣装じゃ、俺の完成度には勝てねーよ?」
「ふふん。そう言ってられんのも今のうちっすよ」
「猫先輩が白ナースで来るなんて、伝手から事前に情報仕入れてましたからね」
なにしてんの君たち。
「つうわけで、ちょっとお待ちを」へんじが龍児を引っ張り、更衣室に向かう。待つこと数分後。
「じゃーん!どうだー!」へんじの掛け声とともに出てきたのは……わあ。黒ナースだ。なにあれマニアック。
「猫先輩が白でくるなら、当然龍ちゃんは黒ナースだよね!」
「駅前のトンキすげーよな。こんなん売ってるんだもん」
いやいや。君らわざわざ買いに行ったの?
ちょっと龍児くんに投資しすぎじゃない?
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