飼いならされたと言うべきか。我ながら奇特な舌になったものだ。

遠い目をして悟る豪星の隣で、猫汰といえば「……っ、!………っ!」真っ赤な顔を両手で隠し、身もだえている。どうかしたのかな?

「……も、……ダーリンがイケメンすぎて、俺死んじゃう……っ!」

「はい?イケメンは猫汰さんでしょ?」

「ぐううう!!天然こわいぃいい!!」

「ラブラブだねー」春弥が苦笑し、「いちゃつくんなら他所でやれ」光貴が呆れたように言う。はて。なんだろう?

豪星だけが、ひとり首をかしげていた。



夏休みの気配をまとった9月初旬も瞬く間に過ぎ去り、中旬。

この頃になれば、校内全体が文化祭の雰囲気につつまれ、自然と教室中がせわしなくなる。

「コスプレ喫茶」の発案を出した猫汰と言えば、委員長に頼まれ、文化祭委員を臨時で受け持つことになったらしく、今日も時間さえあれば、書類を片手になにやら書いたり消したりを繰り返している。

周りが見えないほど集中しているかと思えば、「ねー、ダーリン」こちらに相談したりもする。

「はい。どうされました?」問いかけに答えると、猫汰が持っていた用紙を豪星の前に広げて見せた。

題目には、「コスプレ喫茶の衣装、および設備について」と書かれている。

「いまね、衣装で悩んでるんだけど……」

「俺たちのですか?それとも、お客さん側の?それとも両方?」

今回のコスプレ喫茶は、普通のコスプレ喫茶とは違い、もてなす側ももてなされる側も着替えが出来るコンセプトだ。

つまり、豪星たちもコスプレするし、お客さんも、希望があればその場で着替えて、コスプレしながらお茶をする事が出来る。

ちょっとしたひねりだが、意外に物珍しいと、クラスメイトたちはやる気まんてんだ。

衣装といえば、猫汰の兄である詩織が被服関係の企業に顔がきくということで、希望の衣装を一式、安価でそろえてもらえることになっている。

だから、猫汰の悩んでいる衣装とは、そのラインナップについてかと思ったのだが。

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