「豪星くんの文化祭に行くだなんて!初めてだね!」
「そーだね」
「うれしいなぁ!ねぇ豪星くん、文化祭はドレスコードあるの?」
「………ない。いつものパーカーか甚平で来て」
「そうなんだ!わかった!普段着でいくねー!」
*
あくる日。授業が元の6限に戻った、昼休み。
「はいダーリン。お弁当。今日は中華にしてみた」
メシマズからメシウマに変貌を遂げたお弁当が、猫汰から寄越される。
「わーい!」素で喜び、さっそく包みを開いた。箱を開けて、手作り春巻きをひとくちほおばり、ひとこと。
「うまい!」
次の日。
「今日は洋食にしてみた」
「うまい!デミグラスソースのハンバーグめっちゃうまい!」
次の日。
「今日は和食にしてみた」
「うまい!!白身魚の昆布蒸しめっちゃうまい!!」
次の日。
「今日はイタリアンにしてみた」
「うまい!!牛肉とトマトの煮込みめっちゃうまい!!」
次の日。
「今日は……」
………。
「ねえダーリン。今日の放課後、久しぶりにみつのところへ行かない?たまには夕食食べに来いって、誘われてるんだ」
「ああ、いいですね。行きます」久しぶりの誘いに、二つ返事で頷く。
放課後。二人そろって光貴の店におもむくと、「おー。お前ら。いらっしゃい。待ってたぞ」カウンターの向こうで、光貴が親し気に笑う。
「猫さん彼氏さん。いらっしゃーい」隣には、アオハルこと春弥も立っている。
「やっほーみつ。ハル。お呼ばれにきたよー」猫汰が、豪星の腕をひきひき中へ入る。何時もの、厨房にちかいカウンター席に二人して腰掛けると、「それじゃ、さっそく前菜どうぞ」光貴がさっと、細長い更におかずを持って出してくれる。
皿の上には、あえ物、豆腐、おひたしが乗せられていた。さっそく、左からひとくち。……うまい!
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