朝のホームルームが終わり、体育館で始業式を終えると、再びホームルームに入る。
「えーそれでは」退出した教師に代わって教壇に立ったのは、委員長だ。書記係が黒板にチョークを走らせ、ホームルームの目的を発表する。
書かれたのは、「文化祭の出し物について」だ。
「もうそんな時期なんですね」一学期最後の席替えで、偶然となりになった猫汰につぶやく。
「そうだねー」豪星のほうはふりむかず、にこにこ、黒板を眺めながら、猫汰もつぶやく。
「今年の出し物を今日中に決めておこうとおもうんだけど、誰かアイディアがある人は手をあげてくれるー?」
委員長が声を張り上げ、意見を請うと。「はい」真っ先に、猫汰が手を上げた。彼が、文化祭で意欲を見せるなんて。なんだか意外だ。
「はい。神崎さん。どうぞ」委員長が促すと。
「俺、コスプレ喫茶がいいと思いまーす」初見から、猫汰がイロモノを提示する。教室が一瞬どよめいたが。
「……いや、最近だと、別に珍しくないか」「むしろスタンダードじゃね?」「神崎くんがコスプレするなら、いいかも……」ざわめきの中に同意が入り乱れ始める。
「はいはい。静かに。他に意見はありますか?」委員長が更に案を促すと、やきそば、たこやき、など、無難な案がいくつか出そろう。
五つほど候補が出たところで誰も手をあげなくなり、「それじゃあ、この中から選ぼうか」議題が議決にまわる。
「えーと。候補は、コスプレ喫茶に、焼きそば屋、タコ焼き屋、お好み焼き屋、お化け屋敷ね。それじゃあ、今からひとつずつ出し物の名前を言うから、やりたいと思ったものに手を上げてくれる?それで決定するから」
教室中がうなずいて、委員長が議決を始める。「じゃあまず、コスプレ喫茶……多いな」猫汰の案が出てすぐ、教室の8割以上が手を上げた。俺も、5つの中では一番面白そうだったので手を上げる。
8割の挙手をみるなり、「これ、次は手を上げる必要ないな。つうわけで、他の案は却下でよろしく」さっさと他の案を切り捨て、黒板に「コスプレ喫茶」の文字だけを残した。
11>>
<<
top