「そこまでだー!」並んで歩く二人の間を、衝撃が走る。
「うわ!」
「!」
龍児が倒れたと同時に、ひしと、豪星にしがみつく影。誰かと思えば……あれ!猫汰さん!?
「なんでここに!お兄さんとホテルに戻られたんじゃ……っ」
「抜け出して来たに決まってんでしょー!こらりゅーちゃん!なに人の彼氏と良い感じになってんだ!ダーリンも!夜に浴衣すがたで野郎とほっこり浮気するとか!良い度胸してんじゃねーか!」
「え!?これ浮気に入るの!?」
「確実にクロだろ訴えんぞ!」
「ごめん基準が分からない!」もみ合う豪星と猫汰の傍から、「あーー!」声が増量する。あれは……へんじとけんじか!
「ちょっと猫先輩!いま龍ちゃんと豪星先輩がめっちゃ良い感じだったんすから、邪魔しないでくださいよ!」
「そうだそうだ!規定違反だぞ!大人しくひっこんでろ!」
「うるせー!散歩してたらダーリンにぶつかっただけだ!」
「それで切り抜けるつもりかよ!」
「反則技にも程があるだろ!」
「だったらもうひと勝負持ってこいや!それで負けたら今度こそ引き下がってやらぁ!」
「信用できねぇし!」
「いやへんじ!ここはもういっぱつほえ面かかせてやろうぜ!負けがこんで爆発しろこのやろー!」
「上等じぇねーか!どっからでもかかってこい!」
「よっしゃ!こんな事もあろうかとトランプ持ってきた!」
「龍児!トランプやるぞ!おい!尻もちついてる場合じゃねーぞ!」
「……お前ら帰れ」
「………うーん」ええと。なんでこんなことになったのかな。
いやいや。違うか。
結局こうなるんだね………。
「まず、二手に分かれてババ抜きな!」
「あそこのベンチ借りてやろうぜ!」
「ダーリン!ぼーっとしてないで早くこっちきて!」
「ははは………了解です」
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