長い長い夜を越えて、次の日の朝。再び船に乗って本土へ戻る。
同じ道をたどって家路につくと。
「日焼けが痛い…!」家につくなり、顔と全身を抱えて倒れ込んだ。
やばい!めっちゃひりひりする!皮膚の真っ赤になった部分が熱を持ち、豪星をひたすら苛む。
「ほれみたことか」お土産のせんべいを勝手に開けた父親が、中身をほおばりつつ笑う。
「パパのいう事聞かないと、あとで泣きを見るのは豪星くんだよ?って、言ったのに」
「ぐう……!」言い方むかつくけど、反論できない。
「はー……これいつ収まるかな」
「ま、痛いのは2~3日くらいじゃない?焼け跡は残るだろうけど、ま、若いんだし。ひと夏過ぎれば全部はがれるよ」
「うう……そっか……」
しばらく、床の上で痛みをやり過ごしていると。「はい」父親が、濡れたタオルを持ってきてくれる。ありがたく受け取り、方々にあてて冷やしていると。
「どうだった?三択島」かたわらに座った父親が尋ねて来る。あおむけに転がりつつ「もー、ゆっくりした旅行になるかと思ったら、後から後から友達が増えて、みんなで大ゲンカになって、散々だったよ」昨日を語る。
「喧嘩してたのは、猫汰さんと友達だけだったんだけど、友達のまた友達が、二人の喧嘩を煽るわ焚きつけるわで。料理勝負とか、自転車勝負とか、バレー勝負とか」
「うんうん」
「終わったかと思いきや、夜はトランプ勝負になって、徹夜の10番勝負になだれ込んじゃってさ。もー眠くて」
「へー」
「家帰ったら絶対寝ようと思ったのに、日焼けが痛くてどうしようもないし。ほんと散々」
「ふーん?」
「……ねえちょっと。何にやにやしてんの?」息子の話に口角を曲げる父親をジト目で睨むと。「いやだって、豪星くん、笑ってるから」
思わぬ返事に、「え?」自分の口を押える。
「楽しかったんだね、旅行」
「…………」
「楽しかったんでしょ?」
再び問われて、一度目をつむる。そして
「……うん。楽しかった」笑顔で答えた。
【覚醒編/よつ編完】
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