ラブリーパークの時も入ったけれど、正直、疲れすぎてまったく覚えていないので、今日はとことん楽しもう。

先に洗い場で汚れを落とすと、大浴場に龍児と共に浸る。しばらく、言葉にならない気持ちよさにまどろんでいると。

「おれ、あっち行ってみる」龍児が、サウナを指さし、風呂を駆け上がっていく。

「あ、俺も……」着いて行こうとしたが、「……うわ!」突然、誰かに腕を掴まれ、のけぞった。

「なに!?」声を上げて振り向くと。「……あ、親父さん」須藤が、豪星の腕をわしづかんでいた。どうやら、先に入っていたらしい。

「あぶないですよ。親父さん。いきなり後ろから掴まないでください」

「ああ、すまんな……」謝りつつ、深刻な顔でうなだれる。

……どうかしたのかな?

「なあ、豪星」顔を上げた須藤が、深刻そうに名を呼んで、から。「うっ……!」泣き始める。え!?なになに!?

「ごうせい、一瞬でも、お前たちのことを誤解した俺を、許してくれ!」

「は、はい?」

「そうかー!許してくれるか!本当に優しいなぁお前は!」

いやいや。なんのはなし?

「俺はなぁ、豪星。お前の彼女が、実は彼氏だったっていう事を知ったときな、正直に言えば、そりゃねぇだろ。って、思っちまったんだよ」

そりゃそうでしょ。

「だけどな?さっき、お前の彼氏のお兄さんに会って、誤解している俺を見かねて、お前たちがどれだけ愛し合っているのか、どれだけ真剣なのか、どれだけ苦しんでいるのかを、聞かされてな」

なにしてるのお兄さん。

「俺は聞き終わってから、ああ、自分がどれだけ心の狭い人間だったか、度胸も理解もない男だったのかを、実感したんだよ……!だから、悪かった豪星!彼氏と幸せになれよ!」

「ははは………」どう答えていいものやら。

須藤の力説が暫くつづき、豪星では締めがつけられず、うんざり聞いていたところに。「ごうせー!」頬を蒸気させた龍児が戻ってくる。次は露天風呂にいこうとせがまれたので、須藤を切り抜け龍児と共に外へ乗り出す。


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