「先輩組と、後輩組の二組に分かれて、へんじが審判しますよ。先に10点取ったほうが勝ち。で、三番目の勝負なんで、これで勝ったほうが、優勝ってことでどっすか?」

「おっけー。ボールは?ビニール?軟球?」

「軟球っす。ちなみにけんじ、中学ん時バレー部のエースだったんで、なめてかかると痛い目見ますよ?」

「俺、バレークラブで死ぬほど遊んだことあるから、そっちこそなめない方がいいよー?」

「上等だっつの!」双子が、龍児をつかんで砂浜に駆け込んでいく。後ろでのんびり、「がんばろうね、ダーリン!」猫汰がはしゃぐ。そうですね、と言いつつ。……そういえばこれ、俺の水着が景品じゃなかったっけ?がんばっていいやつ?

いや。深くは考えまい。

砂浜に戻ると、これまたいつの間に借りてきたのか、レンタルバレーセットを、双子が手際よく組み立て始める。その際。「ねーねー、ダーリン」横から脇を小突かれた。

「どうされました?」

「えっとぉ、今日のおれ、なにか気づかない?」

「はい?なにを?」

「だからー。俺のー。今日のかっこう」

「かっこう?いえ……」イケメンは水着も似合うな。ってところ?

「もー!」猫汰がじれて、「水着の柄!」自ら正解を吐き出す。

「これ!ダーリンとラブリーパーク行ったときに買ったやつ!白猫ちゃん!なんで分からなかったの!?あ、猫汰さん、この前ラブリーパークで買った水着きてるんですね。似合いますよって、言ってほしかったのにー!」

「ははは……」男の水着に目が行ったら、俺はいよいよ変態だな。

双子の組み立てが終わると、「それでは!両選手前へ!」へんじが仕切って、四人がコートに入る。じゃんけんの結果、後輩組が先制でスタートを切った。

「おっしゃ龍児!ぶっつぶせー!」けんじの声援のもと、龍児がボールを持ち、上げて、打った。……直後、隣から轟音が響く。ん?あれ?なんの音?恐る恐る振り向けば猫汰のいた場所に、大きな穴が空いていた。

うわ。ボールが砂にめりこんでる。

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