「龍児くん!いつの間に天ぷらなんて作れるようになったの!」
「けっこー前」
「すげー龍ちゃん!俺、白米すら炊けないんだけど!」
「シンプルだけど、難易度たっかいの来たな!イケメン先輩の見た目から美味そうなのに比べて、大皿にあげたて盛っただけ、っていうのも、すげー良い!」
「早く食え」けんじとへんじを一蹴して、食事を促す。言われずとも、三者三様、はしを掴むと、いざ、天ぷらを掴む。
「あれ?龍児、ソースは?」
「いらん。塩で食え」
「今の台詞きゅんときた!」
「早く食え」
「龍児くん。塩、このくらいで良い?」
「うん!……美味しいと、いいけど」
「先輩ずるい!!ひとりだけ龍ちゃんに優しくされてずるい!」
「ええ!?そんなこと言われても!」
「ずるいずるい!」
「うるせぇはやく食え」
作り手から急かされ、天ぷらを口まで運んで、から。
「うわ!美味しい!」
「うっめ!」
「やばいやばい!塩うまい!」三人で口を押える。
龍児の揚げた天ぷらは、外はさくさく、中はふんわり。加減完璧。
新鮮な魚介は目をむくほど美味く、それを塩がさらに引き立たせている。ちょっとひくほど美味かった。
しばらく、夢中で天ぷらを食べていると。「……どれどれ?」傍で見ていた猫汰が、天ぷらをひとつ、つまんで食べる。そして。「む」不満げにうめいた。
「なんだこれ。美味いけど、そもそも素材がよくないと成り立たないやつじゃん?三択島だから出来ることじゃね?」
「どうでもいい」
「よくねーよ。料理勝負だろ?技術と機転で勝負しろよ。シンプルで攻めるとか、へたくそか」
「うるせぇ」
「ふーん?悪態つけるのも今のうちだよ?なにせ、審査はダーリンもするんだからね。ねー?ダーリン。ダーリンなら、勝負の本質分かってるよね?」
「え?」急に呼ばれて唖然とする。なに?なんの話?天ぷらが美味すぎて全く聞こえてなかった。
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