「なにそれうまそう!」
「オリーブオイルが無かったから、米油で代用したんだけど、米油のほうがしらすに合うね。ま、とにかく食べてみなよ。パンはオイルに浸して食べてね。これ、オイルまで出汁がきいてばっちり美味いから」
「うまそう頂きます!」
「ちょっと待った」がっつこうとする二人を瞬時にとどめて、目くばせする。
「な、なんすか?」いつにない豪星の気配に、どちらともなくたじろぐ。
「覚悟してね?」
「え?なにが?」
「いいから。覚悟してね?」
「うん?はい?」
豪星の忠告に、疑問だらけで答える。それも数秒のこと。
「「………ぶっっっは!!」」双子が同時にむせかえった。
「げっほ!げほ!げほっ……!なんだこれ!」
「タコとしらすのアヒージョだよ。猫汰さん風の。……あちちっ、結構あついな」
「ちょ!先輩なに平然と食ってんの!?つうか、先輩って、たしか猫先輩の手作り弁当食ってましたよね!?まさかこれ毎日食ってんの!?」
「まあ」
「まじかよ!どうして食えるんだよこんなの!」
「……きたえればいける」悟りを語ると、双子が唖然とし、「すげーー!」湧いた。
「やべ!俺、先輩のことかっこいいって、初めて思った!」
「俺も俺も!」
かっこ悪くてわるかったな。
「ふん!この良さが分からない凡愚(ぼんぐ)どもめ!ダーリンの舌を見習いやがれ!」
「ははは……」我ながら優秀だよね。
双子が音をあげたので、全部豪星が食べ、完食。「たくさん食べてくれてありがとー!」はしゃぐ猫汰をそっと流して、ぐったりしたまま試食会を続ける。次は龍児だ。
「うわー……これで龍児までメシマズとかだったら、俺ちょっとくじけちゃうかも」
「奇遇だねけんじ、俺もだよ……お。龍ちゃんが料理持ってきたよ」
いつの間にか、タオルで頭を縛った龍児が、「できたぞ!」三人分の料理を運ぶ。出されたのは、大皿に乗せられた……すごい!天ぷらだ!
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