「もー。いろいろ邪魔だなー。あっちいこう。ダーリン」

「え、あ、はい」右手を引っ張られたところに、「おい」左手も引っ張られる。前者は猫汰、後者は龍児だ。

「勝手につれてくな」

「はー?前提がおかしくない?お前が、勝手に、俺の彼氏旅行に連れて行くなって話だよね?」

「うっせえ」

「おい。なに引っ張ってんだよ。手ぇ離せ。ダーリン、向こう行くよ」

「行くな」

「お前に聞いてねぇんだよ!いいから手ぇ離せって!」

「お前が離せ!」

「いだだだだだ!二人とも!離してー!」両腕を思い切り引かれて、千切れそうになる。

「お。またなんかやってんぞ、あの三人」戻ってきた双子が、かたわらに立つ。

「なにあれ。人間つなひき?先輩が千切れちゃいそうだよ」

「知ってるか?あれって、手を離した方が真実の愛なんだぜ?」

「いやいや。あれぜったい離さないでしょ。千切れても離さないって」

「へ、へんじ君けんじ君!たすけてー!」救援を叫ぶと、「「おっけーっす!」」快諾が飛び、二人がかりで、二人をほどく。

「はーーなーーーせーー!」へんじに押さえつけられた猫汰が、腕を振って暴れ、「………っ、………!」けんじに押さえつけられた龍児が、砂を何度も蹴り飛ばす。

「おいおい。ラチがあかねぇぞ、これ」呆れたけんじに続いて、「そういうときは、勝負だー!」へんじが、楽しそうに叫ぶ。

一瞬、場が唖然として、から、「そうするか!」けんじだけが同意を示す。

「おい双子ぉ!俺らで面白がってんじゃねぇぞ!こちとら死活問題なんだぞ!」

「まあまあ、猫先輩」へんじが、暴れる猫汰を押えてなだめる。

「前にも言ったじゃねっすか。ラチがあかない時は、他の手でくっきりさせるのが一番だって。先輩だって、今日一日、折角豪星先輩と海で遊べる機会が出来たのに、龍ちゃんに邪魔されて台無しになるの、やでしょ?台無しにしにきたのに、台無しにされるなんて、いやでしょ??
じゃ、勝負でけりつけましょうよ」

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