「龍児君も今日、三者面談?」

「おう。いまおっさん待ってるとこ」

「そうなんだ」話題にしていた、まさにその時。

「おーい」その人が、声を上げて近づいてきた。笑顔で手を振ると、同じく振り返してくれる。

「いやー、今日は暑いな」須藤は玄関口まで来ると、はいていたスニーカーを脱いで来客用のスリッパにはきかえた。その恰好は、灰色のスーツに白いシャツ。まさに、普通かつ普通な父親図だった。

死ぬほど羨ましいけど、まあしょうがない。

「おい龍児。面談5時半からだったよな」

「おう」

「場所どっちだ?あと、お前カバンどうした」

「教室」

「手ぶらで迎えにくる奴があるか。すぐ取って来い」

「ん」

須藤に注意され、龍児が直ぐに階段を昇っていく。「あれ?豪星君、そちらどなた?」それとほぼ入れ替えに、トイレを済ませた父親が豪星たちに近づいてきた。「……白スーツ」一瞬、父親の姿に須藤が顔を引きつらせたが。

「この人は友達のお父さんだよ。前にバイトでお世話にもなったんだ。親父さん、この人、俺の父親です」

「ああ、なんだそうか」相手が豪星の身内と分かるなり、ほっと顔をゆるませた。

「どうも。須藤と申します」

「これはご丁寧にどうも。中嶋と申します。うちの息子がいつも大変お世話になっております」

二人は数分、その場で他愛のない話をすると、挨拶をして別れた。

知っている大人が初対面でしゃべっているのを、不思議な気分で眺めていた豪星だったが。

「ふっふ」父親の口から、ふとこぼれた笑いで我に返る。

「なに?気持ち悪い笑い方して」

「いやいや。なーに、豪星君のお友達の、しかもお父さんと世間話するような日がくるなんてね。不思議だと思って」

「………」なんだ。同じことを思ってたのか。

「今日は驚くことがいっぱいだね。豪星君」

「そうだね」



父親が先に帰り、豪星も帰ろうとした、その矢先。

「あれ」校門付近で猫汰の姿を見かけた。てっきり、詩織の車に乗って帰るのかと思いきや、いつも通り徒歩で帰宅するようだ。

「猫汰さん」近づいて声をかけると。「うわ!!」大げさに驚かせてしまった。手から、猫汰のカバンがずり落ちる。

「あ、すみませ……」間の悪さを謝ろうとしたが。ふと、落としたカバンの間から飛び出たものを見て「あ!」声を上げる。

「ちょ!これ俺のパンツじゃないですか!」

なんでここに!と、言う前に、「あの紙袋!」思いつく。

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