猫汰が離れて、自ら砂を掴み、応戦する。
「死ね!目ぇつぶれろ!」
「っだとてめぇ!お前の目から潰してやんよ!無傷で自宅に帰れると思うなよ!!」
応戦が応戦を呼び、泥沼になっていく。見かねた双子が、「俺らちょっと、飲み物でも買ってきますよー」退場して、冷たいものを買いにでかける。
しばらく、砂をぶつけあっていた二人だったが。「こら猫汰。はしたないからやめなさい」再び、知った声が追いかけて来る。
「……詩織ちゃん」声が傍までやってくると、途端、猫汰がしゅんと落ち着く。どうやら、三択島には兄弟で遊びに来たらしい。
「お前が、ちゃんと、大人しくしているというから引率してあげたんだよ。ひとさまに砂を投げつけるような遊び方を続けるなら、すぐに帰るからね?」
「違うもん!遊んでるんじゃないもん!これは宿敵をけん制しているだけで!」
「猫汰」
「……うっ」詩織が威圧で黙らせる。さすが、猫汰の兄だけはある。
「それじゃあ猫汰。僕はホテルで仕事をしているから、適度に遊んでいるんだよ。なにかあったら電話で知らせなさい。豪星くん。猫汰のことを頼んだよ?」
「了解しました……」詩織が去って行くのと入れ替わりに、「お?なんだ新顔か?」ほとぼりの冷めた須藤が、再び近づいてくる。猫汰の顔を見るなり、「ほー、龍児、随分イケメンな友達が出来たもんだな」驚き笑う。
「べつに。りゅーちゃんは友達じゃありませーん」吐き捨てるように否定した猫汰に、「なんだ?じゃあ豪星の友達か?」須藤が問うてくる。……どう説明しようかなと、迷う内に。
「おじさん。彼、友達じゃなくて俺の彼氏なの」猫汰がぎゅうとしがみついてくる。わお。やばい形で暴露されてしまった。
須藤はというと。
「えーと。誰の?」
「俺の」
「うん??」
「俺と豪星くん、付き合ってるんですー。結婚前提なんですー」
「うん???」
首を傾げた須藤が、暫くして。「……あー、今日暑いな。ちょっと日傘にいるわ」処理落ちし、日陰に逃げた。……なんかすいません。
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