「ま、まあまあ龍児くん。いいじゃない。みんなで遊べば」

「…………」

「あれ?ちょ、なに泣いてるの!?」

「ふたりであそびだがっだぁ……っ!」

「うん!?そんなに!?いや泣く事ないじゃないか!」

突然の号泣にあせる。これを見た双子も。「……そんなに嫌だったか」「悪い事したね」さすがに反省している。最中。

「なに泣いてんだよ、ばーーーーか!」突然、海面から大声が響き渡る。なんだか聞いた事のあるような、その声は。

「……あれ!?猫汰さん!?」

「だーーりーーん!」驚く豪星の向こう側で、船に乗った猫汰が手を振りかぶる。

しばらくして船着き場に降りると、「俺もきたよー!」駆け寄りざま、胸に飛び込んできた。受け止めつつ、目をまわす。

「どうしてここに!?」

「へへー。ダーリンが旅行に行く日に合わせて、俺も予定組んでおいたんだー」すり寄る猫汰の傍で、「ねえちょっと。猫先輩が乗ってきた船」「あれ水上タクシーじゃね!?」双子がざわつく。

「たしか、水上タクシーって個人船だから、高速船やフェリーの運賃より、3倍くらい高かったはずだよね!?」

「まじかよ。金持ちかよ。イケメンの上に金持ってるなんてふざけてんのかよ」

「……ああ、そりゃ股もゆるくなるわな」

「……だな」双子がうなずき合っている隣で、「どうもー?りゅーちゃん」にやにや、猫汰が笑う。

「双子に邪魔されて泣くほど悔しいうえに、俺まで遊びに来ちゃった心境はどうですかー?いっそ笑えてきちゃう?笑ってどうぞ?」

「…………」

「なんとかいえばー?ああ、くやしすぎて語彙ぶっ飛んじゃった?よかったねー!」

「ちょ、猫汰さん……」その辺に、と、言いかけた言葉が、「……ぐわ!」猫汰の悲鳴にかき消される。何事だと、振り向けば。

「うるっっせえ、ブタ野郎!!」龍児が、砂を掴んで投げ飛ばした。それが、器用にも、猫汰だけにあたる。

「てめ!いきなり砂ぶつけるとか!なに考えてんだふざけんなよ!」

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