話しの途中で荷造りが終わり、やれやれ、カバンから手をどけると。

「あ。電話」同時に携帯が震えた。猫汰からだ。

「もしもし」通話を押して耳にあてると、『だーりーん。こんばんわ』とろけた声が通り抜ける。

『あのねあのね、聞いて聞いて』

「はいはい」この入り方から察するに、特に目的と用事はないけど、とつぜん彼氏に電話したくなったやつだな。というわけで、聞き流しに徹する。

時間にして、20分くらいしゃべり続けると、満足したのかおやすみの話題に移った。そろそろ切ってくれるなと、あと数分を待ちわびていると。

『そういえばダーリン。三択島に行くのって明日だったよね?間違いなかったよね?』

「はい?そうですけど」

『だよねー?ふふふ?楽しみだね?』

「うん?はい。楽しみです」

『うんうん。だよねー。じゃ、俺そろそろ寝るから切るね』

「はい。分かりました。おやすみなさい」

『おやすみー!』

予測した形で通話が切れ、ついでに携帯をカバンへしまう。最中。

「……そういえば、意外だったな」ふとこぼれた独り言を、「なにが?」父親が拾う。

「いや、猫汰さんなんだけど、明日友達……ええと、俺とは仲が良いんだけど、猫汰さんとは仲の悪い友達ね。と、海に遊びに行きますって言っても、特に怒らなかったんだよね。前に似たようなことして激怒された事があるんだけど……」

「ふーん?」首をひねった父親が、数秒経って。「……ははーん」にやにや笑う。

「なるほど。ねこちゃんあくどいなぁ」

「なにが?」今度は豪星が首をひねるも。

「なーんにもー?」かわされてしまう。……一体なんなんだ?

「ま、たくさん遊んでおいでよ。色々な意味でね?」

「……うん?」



三択島へ行くには、本土から船に乗って海を渡る必要がある。

港までは須藤が車を出してくれるとのことで、同乗する為、朝の7時に何時もの公園に到着。そこから車に乗せてもらった。

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