「おお!食べます食べます!」

「大好物っす!」

「そりゃよかった。うちの庭でさっき採れたやつだから上手いぞ」

「スイカって庭でつくれんの!?」

「知らなかった!庭でつくれるのはトマトとなすだと思ってた!」

「はっはっは。龍児。お前の新しい友達面白いな」

「友達じゃない」

「まあそういうな。お前、豪星ばっかりなつくの、いい加減卒業しろ」父親が、近くの木陰に腰掛ける。

「そうだよ龍ちゃん。あの好感度の振り分けはずるいよ」その隣に兄が腰掛け。

「ほんとほんと。豪星先輩に全力すぎだろ。極端だぞ」自分も座る。

「おー。お前ら分かってるな。そうなんだよ。俺もな?豪星のあれはずるいと思っててな」

「お前らうるせぇ」イラついたのか、龍児が去って行ってしまう。

「いっちゃった」

「スイカはちゃんと持っていくあたり、あいつらしいよな」

「そういえばおじさん」追いかけるのもなんなんので、矛先を変える。

「さっき言ってた打ち水ってなんすか?」

「お?おー。あれな。庭にホースで水まいておくと、家ん中に入る風が涼しくなるんだよ。それをうちじゃ打ち水って呼んでんだ」

「へえ。いいですねそれ。ウチでもやってみようかな」

「やっとけやっとけ。ただ、ウチみたいに、庭が土ならいいけどよ、コンクリうってある庭だと、打ち水してもまったく意味ないぞ」

「え!うちの庭コンクリですよ」

「おー。そうか。残念だったな。ここで堪能しとけ」

「はーい」

「あー、スイカうめぇ」

暫く、家のことや世間話、龍児のことなど話していたが。

「そうそう。今度俺たち海に行くんだよ」ふと、龍児の父親が手を叩く。

「いっすね。どこの海ですか?」

「半島から船乗って行ける、三択島(さんたくじま)ってとこだよ。俺と、嫁と、龍児と豪星で一週間後に泊まりで行くんだけど、もしよかったらお前らも一緒に行くか?」

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