「きょうは、たのしかった、なー……」

幸せそうに微笑んで、寝落ちた彼氏の上で、「ぐう!」胸を押えてうずくまる。

なに可愛い寝ごと言ってんだこいつ!!

今すぐめっちゃくちゃにしてやろうか!

「……うぅ、ぐっ!」

落ち着け。勝手にヤったら嫌われる。

嫌われるのは嫌だ。落ち着け。……落ち着け!

「……くっっそ!覚えてろよ!」

何時か絶対、我慢した分取り返してやるんだからな!ぜったいに絶対だ!

これだけ大事にしてやってんだから、いつか反省しろよ!ばっかやろう!

「……あーあ」我慢したらどっと疲れた。俺も寝るか。

とりあえずトイレ行って……。

………。

お手洗いから、部屋に戻って自分のベッドへ、入る前に、もう一度彼氏の顔を覗き込む。そこには、すやすや、気持ちよさそうに眠る横顔。

見つめること数秒。

「おやすみ。ダーリン」半開きの唇に、そっとキスした。



午前シフトのバイトが終わり、帰宅して直ぐ。

「なあへんじ。今ヒマだろ?龍児んち行こうぜー」リビングでスマホ片手に転がっていた兄に声をかける。兄はこちらに一瞥くれると、にやついて。

「おいおいけんじ。お前さ、龍ちゃん構いすぎて彼女に振られたばっかりのくせに、こりてねーの?」

からかわれてむっとする。確かにその通りだけど、だからって別に、龍児構う事にこりるかどうかは別じゃねぇかよ。

「うるせぇな。行かねぇなら別にいいよ」

「行くに決まってんじゃん」背を向けると、背後から兄の追いつく気配がする。なんだかんだ言って、こいつに最近彼女が出来ないのも龍児の所為じゃねぇの?まあつまりは、兄弟同じ穴のむじなだのだろう。

「さーて、いっちょ龍児んちまで漕ぎますかね」

「後ろ乗っけてよ」

「やだよ。自分でこげよ」

ぶつくさ言い合って、お互い自転車にまたがり発進させる。自宅から、住宅街を抜け、田園地帯を抜け、走り続けること20分。田園地帯の中に龍児の家を見つけ、一気に距離をつめた。

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