よし買おう。予備も含めて三枚くらいね。いや、道中の紛失が心配だから四枚買っとくか。

あとは……お。夏休みだけあって、海水浴セットとかも売ってる。白猫ちゃんの水着とタオルと日焼け止めセットだ。ああ、これいいね。これも買おう。直ぐ使うだろうし。

「あれ?買うもの決まったんですか?」猫汰がカゴにパンツや水着を詰めている間、傍を通りかかった豪星がにこにこ近づいてきた。豪星のかごにもなにやら入れられている。

「なに買うの?」いそいそ近寄り尋ねると、「これです」取り出したのは…………黒猫ちゃんが印刷されたマグカップだ。

「…………ねえちょっと」

「ぬいぐるみと迷ったんですけど」

「ちょっと」

「マグカップなら、食事のときに使ってくれるかなって」

「ちょっと!」

「喜んでくれるかなー」

「ちょっと!!それ絶対りゅーちゃんへのお土産だよね!?なに嬉しそうにしてんの!?こら!彼氏の前で他の野郎の土産買うとか良い度胸してんじゃねーか!あ、こらー!レジ持ってくな!こらーー!」

散々っぱら反対したが、「さすがに土産は買っていきたい」と、珍しく反論され、あれこれ話し合った結果。「龍児の土産を買う変わりに、この場で豪星が猫汰にプレゼントする」の折衷案で折り合いをつけた。

これならプレゼントが手に入るし、マグカップは、もし奴が学校にでも持ち込んで来やがったら、こっそり叩き割ってやればいい。陶器など、粉砕すればそれまでである。

とはいえ、心境はやっぱり複雑なので、頬を膨らませる。隣では、猫汰の機嫌を取ろうと、「えっと、なにが良いですか?」彼氏が上目がちに窺ってくる。

……くそう。そんな可愛い角度でご機嫌取られたって、うれしくないんだからね。うれしくなんて……ううくそう可愛い。あざとい角度覚えやがって。

複雑に複雑をかけ合わさると、より、自分に採算あるものを買わせてやろう。という気になってくる。じゃないと、間男の土産買わせるの許すとか、腹たってしょうがない。

「とりあえず、選んでくるからちょっと待ってて」

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