「うん?まあね。一回同じように再現しないと、アレンジしづらいし」
「作ったら絶対呼んでください」
「え?別にいいけど、なんなら、アレンジしてお弁当に入れてあげようか?」
「いえ。再現したそのままの時に呼んでください」
「うん?分かった」
「絶対ですよ?絶対ですからね?」
「わかったー?」
腹ごしらえを終えると、猫汰の要望で、ほど近くにあるアトラクションへ向かった。
向かった先には、「カエルとおたまじゃくし」のコーヒーカップが並び、主に家族連れでにぎわっていた。
ショーと同じように並んで、順番を待ち、10分くらいで中に通された。とき、ふと懐かしい気持ちにかられた。
「懐かしいなぁ」カップの椅子に座りながら胸中をこぼすと、「なにが?」猫汰が首を傾げた。
「龍児くんと知り合ってまだ日が浅い時に、コーヒーカップに乗ったんですよね。こんなにおしゃれなやつじゃなかったですけど」
喋っている内にカップが動き出す。ぐるぐる、中央の回転坂まわると同時に、豪星の目も回る。
「あの時、龍児くん、遊園地に行くのも、コーヒーカップに乗るのも初めてだったみたいで」
「へえ」
「カップに乗ったとたん、はしゃいじゃったみたいで、ぐるぐる大げさに回すんですよ。ダメだよって言っても聞かなくって」
「へえ」
「結局、二人そろって気持ち悪くなっちゃったんですよ。あれ以来乗ってなかったんで、懐かしいなぁって……うわー!」
突然、猫汰が回転盤をひしと掴み、思いっきり三回転した。その拍子に、身体が吹き飛びそうになる。手すりにしがみついてやりすごすと、「ばっっかじゃないの!」すごい形相で睨まれた。
「彼氏と!デートしてるときに!他の野郎とデートした時のこと思い出すとか!なに考えてんの馬鹿じゃないの!?」
「や!べつに!デートとかじゃなくて!ただちょっと!なつかしいなって思っただけで!」
「思っただけなら!まだしも!わざわざ聞かせんじゃねーよ!妬かせてーのか!」
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