「見てきたように喋りますね……」

「え?そりゃ、一部始終見てたへんじ君が、喜々として教えてくれたからね。俺しばらく彼女いなかったんで、兄弟がふられるとかざまあねぇっすよ!って、爆笑してたよ?」

「ははは……兄弟ってそんなもんですかね?」

「俺のとこ兄弟だけど、双子じゃないからわかんなーい。……あ、そうそう、兄弟と言えばね、この前しおりちゃんが……」

………。

12時を過ぎたあたりで、再び空腹に襲われた。その旨を猫汰に伝えると、「よしきた」大張り切りで承諾した後、また別の場所へといざなわれた。

次に向かったのは、木目の美しい喫茶店風の店で、中に入ると、2、3人の列が出来ていた。並ぶこと数十秒、猫汰はサンドイッチにトマトのスープ。豪星は肉と魚とマッシュポテトに、バターライスのセットを頼んだ。

木陰の涼しい机に移動すると、遅れて来た猫汰が、にやにや笑って飲み物を差し出して来た。中身は……ああこれビールだ。

「黒ビールとオレンジピールのカクテルだってさ」

「わあ。美味しそう」

「これ聞いて美味しそう。とか言っちゃうあたり、随分のんべになってきたね?豪星くん」

「自覚はあります……」

悪いとは思いつつ、ビールを一口。わあ美味しい。

肉にも魚にもバターライスにも合う。美味しすぎる。

「あー、サンドイッチ、蒸し鶏と野菜が入ってて美味しい。たまごのスプレッドに入ってるハーブなんだろう?ちょっと苦くてそれが美味しい。ミネストローネも、キャベツと玉ねぎ入りすぎでしょ美味すぎる」

「やばい。猫汰さんの実況おいしそう」

「食べていいよー?」

「……それじゃあ、こっちも」

「ありがとー!わー、お肉照り焼きだおいしい!魚もレモンと白コショウ味だ、おいしー!やばいやばい、こってりあっさりで、ビール止まらなくなるやつだ」

「ですよね……あー美味しい」

「これ、帰ったら再現してみようかな?」

「……え、それって、このまま再現するってことですか?」

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