「え?なんでした?」

「だって、黒猫ちゃんって、……なんとなくりゅーちゃんに似てるから」

「龍児君に?」

「うん」

「……へー」

青猫ちゃんの耳を戻して、黒猫ちゃんの耳を取り、黒猫ちゃんの姿と、龍児の姿を思い浮かべてみる。

……ほんとだ。言われてみればたしかに似てる。目とか、愛想のないところとか、それがほんのり可愛いところとか。

「へー。そっか、黒猫ちゃんって龍児君に似てるんだ……」

「……ちょっと豪星くん。なに嬉しそうにしてんの?あ、こら!黒猫ちゃんの耳持ってレジ行かないで!なに買おうとしてるの!?こら!ダーリン!それ買うの許さないからね!こらー!」



結局、猫汰の猛反対を食らい、黒猫ちゃんではなく青猫ちゃんの耳を装着することになった。

「じゃあ、次あっちいこう」白猫ちゃんの耳をつけた猫汰が、次を先導し始める。向かった先は、二回目のショーだ。待ち時計を見ると、次は30分となっている。

「あー。結構並ぶね。けど、ショーは優先券ないし、しょうがないか」

「ここはなんのショーをやるんですか?」

「二羽のカラスのデジタルショーだよ。さっきの着ぐるみショーと違って、3Dシアター上映なの。風とか水とかも飛んできて、面白いよ」

「へえ。全然想像が出来ません」

「まあ、百聞は一見にしかずだよね。あー、早く30分経たないかなー……あ、でも、経たなくてもいいかも」

「なんでですか?」

「だって、豪星くんと一緒にアトラクション並ぶなんて、普段ないしね。3時間くらい並んでてもいいかも」

「気の長いことで」

「恋人なんて気が長くなくちゃやってられないでしょう?」

「そんなもんですかね?誰かと付き合うって、俺、猫汰さんしか経験がないのでよくわからないです」

「やだー。今きゅんとしたー」

「え?どこで?」

「そういうところ」

「?」

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