「え?なんでした?」
「だって、黒猫ちゃんって、……なんとなくりゅーちゃんに似てるから」
「龍児君に?」
「うん」
「……へー」
青猫ちゃんの耳を戻して、黒猫ちゃんの耳を取り、黒猫ちゃんの姿と、龍児の姿を思い浮かべてみる。
……ほんとだ。言われてみればたしかに似てる。目とか、愛想のないところとか、それがほんのり可愛いところとか。
「へー。そっか、黒猫ちゃんって龍児君に似てるんだ……」
「……ちょっと豪星くん。なに嬉しそうにしてんの?あ、こら!黒猫ちゃんの耳持ってレジ行かないで!なに買おうとしてるの!?こら!ダーリン!それ買うの許さないからね!こらー!」
*
結局、猫汰の猛反対を食らい、黒猫ちゃんではなく青猫ちゃんの耳を装着することになった。
「じゃあ、次あっちいこう」白猫ちゃんの耳をつけた猫汰が、次を先導し始める。向かった先は、二回目のショーだ。待ち時計を見ると、次は30分となっている。
「あー。結構並ぶね。けど、ショーは優先券ないし、しょうがないか」
「ここはなんのショーをやるんですか?」
「二羽のカラスのデジタルショーだよ。さっきの着ぐるみショーと違って、3Dシアター上映なの。風とか水とかも飛んできて、面白いよ」
「へえ。全然想像が出来ません」
「まあ、百聞は一見にしかずだよね。あー、早く30分経たないかなー……あ、でも、経たなくてもいいかも」
「なんでですか?」
「だって、豪星くんと一緒にアトラクション並ぶなんて、普段ないしね。3時間くらい並んでてもいいかも」
「気の長いことで」
「恋人なんて気が長くなくちゃやってられないでしょう?」
「そんなもんですかね?誰かと付き合うって、俺、猫汰さんしか経験がないのでよくわからないです」
「やだー。今きゅんとしたー」
「え?どこで?」
「そういうところ」
「?」
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