と、言う間も無く、猫汰に再び引きつられ、優先券を取ったアトラクションから離れ去っていく。次に向かったのは、猫汰の好きな三匹の猫が描かれた、シックな色合いの建物だった。
猫汰は建物お中を覗き込むと、よしよしと言った風に笑ってから、ふと上を仰いだ。豪星もつられて仰ぐと、そこには待ち時間の時計がそびえたっていた。
「今、別の場所でもショーやってるから、こっち人少ないんだよね。10分で見れるよ」
「へえ。同時にショーをやったりするんですね」
「ま、客はけだろうね。それよりいこいこ!」
二人で最後尾に並び、10分程並んで、大体予測時間ちょうどくらいに中へ入った。
ショーを見終わると、うんと背伸びをした猫汰が、「それじゃあハニマドピザ食べよっか!」ようやく食べ物の提案をしてくれる。ありがたい。こちとらぺこぺこだ。
まだ朝の10時だけど、朝ごはんを食べずに来たからなぁ……。
「あそこだよだーりっ…豪星くん!」
おお。また間違えそうになった。言い辛いなら戻しても良いんだけどな。
猫汰に連れられたのは、従業員さんが、大きな風船を束にして売っている、その隣。スチール製の壁を作り、車輪をつけた簡素な屋台の傍だった。
そこで少し並び、猫汰がしきりに勧める「ハニマドピザ」正式名称は「ハニーマスタードピザ」を二切れ、猫汰が隣でお洒落な飲み物を二つ買うと、近くに設置された日除け付きのテーブルに腰かける。
「あのねこれね、ほんと美味しいの!一昨年くらいに出来たメニューなんだけど、詩織ちゃんと初めて食べた時に、すっごく美味しくって!何時か豪星くんとも食べてみたかったんだー!」
「おおー……ほんとだ美味しそう」
ハニマドピザとやらは、白っぽい生地に軽く焦げ目がつき、その上にどっさりとチーズがとろけている。かけられているソースは……ハチミツかな?
猫汰が絶賛するだけあって、とても美味しそうだ。
「それじゃ、いただきます……うわ!ほんとだ美味い!」
「でしょでしょ!この、ハニーチーズが最高だよね!」
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