猫汰に連れられ、入口から右手、奥まった場所にあるコインロッカーで荷物を預けると、「さて!」いつの間に手に入れたのか、園内のパンフレットを取り出した猫汰が、それを広げ始めた。

がさがさ、八つ折の紙が一挙に開かれる。それを、豪星も横からひょいと覗き込んだ。

「やっぱり、一番人気のおかねとアヒルの映画館は絶対乗りたいよねー、でも、俺、三匹の猫の午前ショー見たいし、ショーの近くにあるハニマドピザも絶対食べたいから。よし、まずは優先券とりにいかなくちゃ!」

「おかねとアヒルの映画館?午前ショー?ハニマドピザ??優先券??」

「ほら豪星くん。おかねとアヒルの映画館の優先券とりに行くよー!」

「わ!ちょっと!引っ張らないで下さい!初心者に優しい感じでお願いしますー!」

「ぽやぽやしないで!発券が終わっちゃうでしょー!」



猫汰いわく、優先券。というのは、予め取っておけばアトラクションに優先的に乗せて貰える、予約券らしい。

へえ。そんな便利なものあるんだ。などと、感心しつつ、猫汰に任せきりで優先券を取って貰っている間、豪星ははぐれない距離で、当たりをきょときょと散策した。

全体的に、外観はファンタジーで、ところどころに、生花ばりに精巧な造花がとろこせましと並んでいる。

風船は時折空を揺らいで、建物の端から、突然人間の大きさをしたキャラクターたちが飛び出してくることもある。その都度興奮するのだが、驚きが多すぎてその内、何処へ目を向けて良いのか分からなくなってくる。

「……おなかすいた」興奮にカロリーを裂きすぎた所為か、胃が空腹を訴え始める。

「まだだめだよ!」ちょうど戻ってきた猫汰が、豪星の独り言を却下した。

「いやでも、ちょっとくらい。ほら、そこの店?屋台?で、ソーセージ売ってますし、買ってきてもいいですか?」

「黒コショウとセロリのあらびきソーセージも美味しいけど、それよりまずラブリーパークひとくちめは絶対にハニマドピザだし!その前に午前ショー見るの!」

はあ。左様ですか。なるほど良く分からない。

11>>
<<
top