「やったねー。龍ちゃんのはじめて貰っちゃったー」へんじが面白い言い方をするのでつい吹き出してしまう。
「おいおいへんじ。へんな言い方すんなって。イケメン先輩たちじゃあるまいしな」
俺たちの龍児への愛は至ってノーマルなものである。
龍児の先輩への愛は…微妙だけどな。
「えーでも、あのひとらヤってないんでしょ?あんな20人も女切った股のゆるい人が今でも我慢してるなんて、奇跡だよねー」
「しょうがないんじゃねぇの?もう、イケメン先輩の方がべったべたに惚れてるのどう見たって分かるだろ?そりゃ拒否られたらそれ以上出来ないって」
「ていうかさ、ごうせー先輩ってぜーんぜん普通だよね?なんであのひとホモなのにホモっぽくないの?」
「…うーん。案外、イケメン先輩が勝手に豪星先輩のこと好きになっちゃって、あの押しの強さで恋人になろうよ!って押し切ったとか?」
「うわー!ありえるー!」
「もしそうならさ、まだまだ龍児のつけ入るスキ、ぜーんぜんあるよな?」
「あるだろうねー。むしろ、奇襲しかけるなら龍ちゃんの方が有利でしょ」
「そうかもなー」
「…さっきから、ごうせーがどうした」
「ん?あれだよ。お前まだ彼氏狙えるチャンスあるから頑張れよって話」
「……でも俺、負けたし」
「今日はね!明日からはまだ分からないって!」
「そうそう!それにあんな誓約書、ただの口実だったしな。どうせイケメン先輩だって、乗ってるフリして間に受けてなかっただろうし。絶対あれ、ヤりたかっただけだって」
「ああ、そうだね。自分が負けたら絶対、こんな紙切れ効力持たないから!とか言い出してただろうなー。あのひとあざといから」
「でも、今日は流石にムカついたよなー。俺たちの可愛い龍児さんざ苛めやがって。こいつ苛めていいのは俺らだけだっての」
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