「…おいへんじ。なんでお前まで泣いてるんだよ」
「…だって…俺だって悔しかったんだもん!あんな反則野郎に龍児が負けるなんて!悔しいにきまってんだろー!」
「…ふたりとも、泣くなよー…」
龍児とへんじを眺めていたけんじも、その内ぐずって涙をこぼした。
「俺だって悔しかったよ。ちくしょー…!」
三者三様に泣いて、言葉にも会話にもならないまま時間だけが過ぎると、「…あ!いたいた!なにやってんだよお前ら!」今度はクラスメイトが自分たちを探しに来た。
「なに泣いてるんだよお前ら。もう体育祭終わっちゃったぞ。片付けとかあるんだから手伝ってくれよ」
泣きはらした自分たちを呆れ顔で見下ろしていたクラスメイトが、要件だけを告げて去っていく。
お互いのひどい顔を見合わせてから、三人同時に立ち上がった。
「…いくかー」
「…そうだねー。龍ちゃんもいこー」
「………ん」
「…あー、片付けだりー。もうなんか、いろいろやんなっちゃうよな」
「あとでラーメンでも食べに行く?」
「あー、いこいこ。そうだ龍児、せっかくだしお前もいくか?」
「えー?龍ちゃんは行かないでしょー」
「……いく」
「…え?行くの?龍ちゃん」
「………」
「豪星先輩は?体育祭のあと、なにか約束とかしてないのか?」
「…するつもりだったけど、してない」
「そっか…。あ、なんなら、今から猫先輩の邪魔してやれば?腹いせもこめて!」
「…今日は、アイツが勝ったからいい」
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