「女です!!!」
「だよねー!と言うわけで、白組は汚い上等だっつーの!」
正直だなアンタら…。あと、いま赤組の方からも同意が聞こえたような…。
「さすが猫汰、誘導が上手だね」
「…そこは褒めるところじゃ」ないけど。まあ言っても以下略。
猫汰の鼓舞(?)のおかげか、白組の形勢がますます有利になっていく。とうとう、赤組の騎馬が一騎、二騎と崩れ、白の優勢がにおい始めた頃。
「―――俺が行く!」猫汰と同じく、騎馬団の後ろに待機していたらしい龍児が騎馬の上で暴れ始めた。下で龍児を抱えていたけんじとへんじが、暴れる龍児を慌てて押えこんでいる。
「待って龍ちゃん!待ってってば!まともに行くと勝てないよこれ!」
「お前でも流石に、多勢に無勢じゃ分がわりーよ!」
赤組の団長騎馬がもめている内に、勢いづいた白組が猫汰を中心に固まり始めた。そして、あっという間もなく、手数の減った赤組の中心に飛び込んでいく。
「よっしゃー!貰った!」猫汰が笑いながら龍児に突撃していく。その多勢ぶりに、勢い込んでいた龍児が怯む。が。
「―――来た!作戦実行するぞへんじ!」
「おうとも!―――3番4番5番6番戻れー!」
けんじとへんじがかけ声を上げる。すると、散り散りになっていた赤組の騎馬が一斉にスタートラインへ駆け戻り、そこから、団長騎馬を中心に左右へ折れた。
「ちょ。なに…っうわ!」赤騎馬に囲まれた白騎馬が、真横から不意打ちをくらいどよめく。相手が混乱している隙に、次々と赤組が白組の鉢巻きを奪っていった。
「どうだ!そっちがスポーツマンばっかりなら、こっちは団結力だ!なめんなー!」
「いまだ龍ちゃん!先輩の首とれー!」
「…おう!」
けんじとへんじが走り出す。目指すは当然、守りが手薄になった猫汰の団長騎馬だ。
一歩、二歩と近づくたび、猫汰と龍児の距離が縮まっていく。あと少し、手を伸ばせば猫汰の頭に届く。というところで。
「…させるかー!」
攻撃をかわした猫汰が片手を振り上げる。龍児の鉢巻きを狙ったのかと思いきや、手前で空振りに終わる。
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