「大丈夫か豪星!」

「ダーリン大丈夫!」

その割にはよく利いたみたいだけど。

龍児と猫汰が同時に振り向いた直後「――次の種目は、借り物競争です。選手の方は…」猫汰の参加種目がアナウンスされる。

「…あ、俺行かないと。ダーリン、杖で歩けそう?」

保険医に借りたばかりの松葉づえを指して、猫汰が様子をうかがってくる。

ちょっと待ってくださいと言ってから、つたないなりに頑張って、杖を使い立ち上がった。

ひょこひょこ、足取りは不安定だけど、ゆっくりなら歩けそうだ。

豪星が立ち上がると、猫汰は座っていたパイプ椅子をひとつもって、「それじゃあ行こうか」豪星の足並みに揃えて歩き出した。

てくてく、てくてく、…その後ろを、何故か、ずっと龍児がついてくる。

「何処までついてくるんだよ」いらっとした声で振り返った猫汰に、龍児が「行き先が一緒なんだよ」嫌そうに答えた。

「…あれ?龍児君も借り物競争出るの?」

「おう。俺、1000メートルリレーと、借り物競争に出る」どうやら、借り物競争が猫汰と被ったらしい。

「へぇ、そっか、頑張ってね。俺、近くで見てるから」

「うん!俺、がんば…っ」

ばちっ!と、猫汰が龍児の腕を叩いた。予想外の行動に、自分も龍児も目が丸くなる。

猫汰といえば、親の仇でも見たような顔で、龍児を睨み据えていた。

「勝負だ!」びっ!と相手にひとさし指を突きつけ、猫汰が大きく宣言する。くっと、龍児が喉を鳴らした。

「…勝負」

「そうだ!りゅーちゃん、騎馬戦の前に借り物競争で俺と勝負だごらぁ!!」

猫汰の語尾が消える頃、龍児の目に、あからさまな火が灯る。

「上等だ豚ぁ!!目にもの見せてやっからな!!」そう言って、龍児が集合アーチに突進を始めた。

「あ!まてこらー!」猫汰がパイプ椅子を持ったまま、つられて龍児の背を追いかける。

その後ろで、豪星はひょこひょこ歩きながら、…あの二人、実は仲が良いんじゃないの?ぼんやり、二人の不仲を疑っていた。

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