白が一番前を走っていたので、龍児に繋ぐ選手(龍児は赤側の為)はその後になるらしい。

初めての体育祭だし、良い順位を狙えるといいなと、日和見で観戦していたが。

「…あれ」

アンカーにバトンが渡り始めた頃、少しも、龍児に繋ぎが来ない事に気付いた。

まさか、龍児のリレー組は、最後を走っているのだろうか?

豪星の予想は的中して、ひとり取り残されていた龍児が最後のバトンを取り次いだ。

ああ、やっぱり最後か。龍児君、あとで気落ちしないといいな。

「…あれ!」

異変に気付いたのは暫くも経たない内だった。

豪星の落胆とは真逆に、とても冷静な顔で龍児がコースを走り抜けて行く。その速度が尋常では無かった。

異様な速さで駆け抜けて行く龍児は、ひとり、ふたりと、前を走る選手の隣を豪快に勝ち越していく。その様子に、豪星だけではなく観客全員が息を呑んでいた。

とうとう、最後のひとり、一番前を走っていた選手に追いつくと、「いけー!龍児ー!」「一位かませー!」何処からか双子の声が聞こえた。

それを切欠にまわりから盛大な応援が始まる。それでも、龍児だけは冷静な顔で最後のひとりを抜いて一着した。

うわー!龍児君かっこいい!

友人の健闘ぶりに、知らず熱が入った。高ぶる熱に、柄にもなくはしゃいでいると「なになに?さっきの競技、凄いことでもあったの?」誰かが豪星の肩を叩いてきた。

意識が急に逸れて痙攣する。吃驚して振り返ると「よー、豪星!」「彼氏さーん」そこには、いつの間に近づいていたのか、光貴と春弥が二人並んで立っていた。

「光貴さんと、アオハルさん!」反射で芸名を叫ぶと、「もう芸能人じゃないってば」相手が照れくさそうに頬をかいた。

「なんか、凄く盛り上がってんね。もうちょっと早く来れば良かったかな?」

「お前が出し巻きも弁当に入れるってうるせえから」

「だってー!あれは鉄板でしょ!光貴さーん!」

なにか、体育祭以外の事で盛り上がってるけど、…二人はどうして此処にいるんだろう?

「光貴さんたち、体育祭を見にきたんですか?」実際に尋ねてみると、光貴の方が、そうそう!と手を叩いた。

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